舌痛症について

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コラム

舌痛症について

舌が痛いという経験を持った方はいませんか。食事や会話の最中に間違って舌を噛んでしまった、舌が赤くなっていたり、口内炎が出来てしまったというのが、一番多いことでしょう。それ以外では、刺激物を食べた直後に舌が痛い、ヒリヒリするといったことも考えられます。また、原因がはっきりせずに痛みが続くこともあります。今回はそのような舌痛症について、ご紹介します。

舌痛症とは

舌痛症は、からだと心の病気において、それぞれ見方が異なります。

身体における舌痛症

身体の病気としては、「はっきりとした原因がないのに、痛みが続く機能(感覚)の病気」とされます。一般的には国際頭痛分類で「口腔灼熱症候群(Burning Mouth Syndrome: BMS)」とされ、見た目には赤み、口内炎、しこりなどを伺わせる所見が無く、キレイな舌に見えるのに、ピリピリ・ジンジンするという感覚があります。CTやMRIで撮影して、脳、舌、その間にある神経の3つにおいて、それぞれを圧迫・刺激するような腫瘍らしき塊が無いと確認されると、舌痛症の可能性が高まります。舌痛症の患者さんの約60%が口腔乾燥感や味覚障害も合併しており、患者さんの約80%が中高年の女性だと報告されています。

こころにおける舌痛症

こころの病気としては、「身体の症状という形で転換されたストレスによる病気」とされています。かつては身体表現性障害や疼痛性障害と呼ばれていた、身体症状症のうちの一つの転換性障害となっています。

舌痛症の特長

舌の尖端、舌縁部(舌の横側)に、まずヒリヒリする感じや、灼熱感、しびれ感などの痛みを訴えることが多いです。サ行やタ行の音を発する際には、舌を歯に当てるように発音するので、そのせいで痛いのかと考えるのですが、それが数ヶ月と長く続く点が異なっています。鎮痛剤を服用しても効かないことが多く、医療機関を転々とすると、治りにくいことも多いようです。尚、重要な所見として、趣味の時間や何かに没頭している間、楽しいことに夢中になっている間、楽しく食事をしている時間などには、舌の痛みを感じないことも多くあります。

舌痛症の原因

大元となる疾患を治療することで舌痛症が軽快する場合もありますが、治療に難渋することもあります。 局所的要因 義歯が合わない、痛いところがある、被せ物による金属アレルギー、唾液減少による口腔内の乾燥などがあります。 全身的な原因 甲状腺機能低下や糖尿病、閉経などによるホルモンバランスの異常、ビタミンB12欠乏症、鉄や亜鉛の欠乏症、胃食道逆流症、シェーグレン症候群、貧血、薬剤の副作用によるものなどがあります。 心理的要因 不安障害、強迫性障害、抑うつ、がんへの恐怖が挙げられ、心身症の一つとして考えられます。

舌痛症の治療

局所原因における治療 この場合はその治療、改善を行います。入れ歯の不具合や歯科金属アレルギーが疑われる場合は、歯科で治療を依頼し、入れ歯の修理や被せ物の変更などをしてください。 全身的原因の治療 口腔内乾燥には保湿ジェルなどを使って保湿に努めてください。ビタミンB12が低下している場合はビタミン剤が投与されます。 心理的要因の治療 抗うつ剤(SSRIやSNRIなど)を使用することが多くあります。薬で症状を軽減させながら、認知行動療法(CBT)などの精神療法を重ねて、少しずつ改善していきます。ただしどの治療法がよいかは各患者さんによって異なります。

認知行動療法(CBT)について

心理的要因が原因の舌痛症では、薬物療法と認知行動療法(CBT)を行うのが一般的です。 認知行動療法(Congnitive Behavior Therapy)は、物事の捉え方を合理的・現実的なものに変えることで、ストレスなどで固まり狭くなってしまった考えや行動を、自分の力で柔らかくときほぐし、自由に考えたり行動したりするのを手伝ってくれる心理療法です。元々はうつ病に対する精神療法として開発されましたが、それ以外に不安症や強迫症など多岐にわたる疾患に、治療効果と再発予防効果があるとされています。現在では、精神科の治療だけでなく、法律や教育、ビジネス、スポーツなど、あらゆる領域で認知行動療法の考え方が取り入れられています。 ストレスを感じた出来事の4つの側面 認知行動療法では、ストレスを感じた具体的な出来事が起きた時の「頭に浮かぶ考え(認知)」、「感じる気持ち(感情)」、「体の反応(身体)」、「振る舞い(行動)」の4つの側面に注目しています。このストレスフルな出来事によって生じる反応を「ストレス反応」と呼びます。この4つの側面は互いに影響を及ぼし合い、悪循環を生み出すことが多いのです。そのため、この4つの側面を整理して、自分のストレス反応のパターンに気づき、さらなる悪循環に陥らないように調整することを目指します。 「認知」と「行動」にアプローチ 一般的に「認知」と「行動」は自分の意志でコントロールしやすいといわれます。反対に、「感情」と「身体」はコントロールし難いといわれます。そこで認知行動療法では、この「認知」や「行動」の幅を広げたり、変えたりすることで、気分や身体を楽にして、ストレスとうまく付き合っていけることを目指しているのです。具体的な行動面へのアプローチとしては、生活リズムを整えたり、喜びや達成感のある活動を増やしたりして、物事への回避や先延ばしを減らす「行動活性化」の技法が用いられます。また認知面へのアプローチとしては、出来事に対する考えを見直し、考えの幅を広げたりすることで気分を楽にする「認知再構成」という技法が用いられます。 いかがでしたか、身体が原因の場合は歯科での治療として、口腔内の清潔を保つ、禁煙をする、むし歯を直す、義歯の不具合を調整するなどで対応されます。心の原因に対しては、自身で認知行動療法によって対応が可能となっています

監修者情報

公開日:2023年07月10日

理事長

理事長 松岡 伸輔

芦屋M&S歯科・矯正クリニックのWebサイトにようこそお越しくださいました。
平成15年の開設以来、芦屋市周辺の皆様のお口の健康維持のために日々診療しています。

当院は虫歯や歯周病治療などの一般歯科をはじめ、インプラント治療や入れ歯治療など歯科全般に対応します。
なかでも得意としているのは矯正歯科です。日本矯正歯科協会に所属する矯正歯科の専門医が小児矯正にも成人矯正にも対応し、インビザライン(マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置)認定ドクターも在籍しています。
専門的な矯正歯科と一般歯科を並行してご提供して、総合的な口腔ケアをおこなう歯科医院です。
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