正しい食べ方の食育と歯並びの関係

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コラム

正しい食べ方の食育と歯並びの関係

子どものお口について、多くの親が気にするのは歯並びについてでしょう。歯並びは親のあご骨の形などの遺伝的影響が認められます。その一方で正しくない咀嚼(食べ物を嚙むこと)や、嚥下(噛んだ食べ物を飲み込むこと)などの食べ方、発音や呼吸に関する望ましくない口腔習慣などが、お口機能の発達不全に影響を及ぼすことがあります。今回は、子どものきれいな歯並びと正しい嚙み合わせになるために、正しい食べ方を身につける「食育」と歯並びの関係について、ご紹介します。

子どもにみられる間違った食べ方

奥歯でよく咀嚼しないで飲み込む

咀嚼とは、奥歯で食べ物を十分にすり潰すことですが、奥歯ではなく前歯だけで噛んでしまうと、舌が食べ物を奥歯近くに送るような動きをしません。また、この場合の下あごの動きは主に開閉のみなので、水平方向にはあまり動かず、あごの筋肉や骨の成育に悪影響を与える可能性があるのです。

唇を開けたままクチャクチャ食べる

この食べ方は、口呼吸を習慣的に行っている人によく見かけられる癖です。習慣的に口呼吸をしていると、口を閉じる力が弱くなり、その上、呼吸が苦しくなるように感じるため、咀嚼の際にも口を開けてしまうようになります。このような食べ方を続けていると、歯列に対する筋肉のバランスが崩れ、歯並びの成育に悪影響を与えると考えられています。

飲み込むときに顔の筋肉を強く収縮させる

通常、咀嚼した食べ物は舌の機能によって、のどの方に送られます。しかし、舌の運動機能が不十分な場合は、食べ物が前の方にとどまったままなので、自然な嚥下反射も起きにくくなります。このような場合には無理やり飲み込む必要があるため、唇やほほの筋肉を異常に収縮させることになります。その時、舌を歯の裏側から強く押して、上下の歯の間に突き出すと、歯列に異常な力が加わって、歯並びに悪影響を与える可能性があるのです。

食べ物が歯並びに与える影響

「健全なあご」や「良い歯並び」は食べ物で変わる

子どもの食べ物は歯並びやあごの成長に大きく関係します。柔らかいものばかりを食べている子どもは、「正しく噛む力」が鍛えられず、あごが健全に育ちにくいのです。そのせいで、あごが小さいままだと生え変わりの時に、永久歯がまっすぐに生えるスペースが足りなくなり、ガタガタの歯など、歯並びに乱れが起きやすくなります。

「硬い物を食べれば良い」は間違い

子どもに柔らかい食べ物ばかりを食べさせることは良くありません。柔らかい食べ物中心の食生活では、お口周りの筋肉を十分に鍛えられず、あごの発達不全や発達異常を引き起こす原因となります。しかし、だからと言って、「硬い物を食べさせていれば良い」というものでもありません。たしかに硬い物は噛む力を鍛えますが、大切なのは食べ物の硬さではなく、「食べ方」「噛み方」にあります。たとえ硬い物を食べていても、食べ方や噛み方が間違っていると、あごの成長に異常が起きたり、歯並びが乱れやすくなったりします。硬い物ばかりを食べるのではなく、適切な食材を選んで、正しく噛む習慣を身につけることで、子どもの健全なあごの成長とお口の機能の正常化につながります。

あごの成長を促し、良い歯並びにつなげるポイント

「正しく食べ、飲む」を身につける

子どものあごの成長を促し、良い歯並びを作るには「正しく食べる」「正しく飲む」を身につけることが大切です。「正しく食べる」とは、すべての歯を使ってしっかり食べ物を噛んで咀嚼することをいいます。また「正しく飲む」とは、のどの力を使って”ごっくん”と飲み物を飲むことです。「正しく食べ、飲む」ことを身につけると、お口の周りの筋肉が鍛えられ、あごの健全な成長を促します。あごが健全に成長すれば、永久歯がまっすぐに生えるスペースが確保されて、将来のきれいな歯並びやバランスの取れた顔立ちにつながるのです。

「正しく食べる」ポイントに合った食べ物

前歯で噛みちぎる食べ物
大きめの肉、骨付きのチキンやポーク、フランスパン、丸ごとかぶりつけるりんごなど、大きめに切ったたくあん、大きめのいか・たこ、大きめの根菜類。 前歯で食べ物を噛みちぎることで、口輪筋などのお口周りの筋肉が鍛えられ、唇をきちんと閉じる習慣がつきます。また、食べ物の硬さを前歯で感じて、噛む力をコントロールする能力もつきます。
奥歯ですりつぶす食べ物
お米、キャベツやレタス・ほうれん草など繊維質の多い野菜、たけのこ・ごぼう・にんじん・じゃがいもなどの根菜類、しいたけやエリンギなどのキノコ類、わかめやヒジキなどの海藻類、こんにゃくや高野豆腐など弾力ある食べ物、大豆などの豆類。 奥歯ですりつぶすことで、咬筋などの噛む筋肉が鍛えられ、あごの健全な成長につながります。なお、フランスパンやベーグルなどの硬めのパンはOKですが、すりつぶす動作をあまり行わない柔らかいパンは薦められません。
舌を使う食べ物
骨付きチキンやポーク、皮がついたままのぶどう、種ごと切り分けたスイカ、種が入ったサクランボ、など。 舌を使うことで噛む力だけでなく、舌の正しい使い方を身につけやすくなります。舌を使うことで、下あごの中に落ち込む「低位舌(ていいぜつ)※」の予防・改善につながります。 ※低位舌:常に下あごの中に舌が落ち込んでいる状態。口呼吸や受け口など、歯並びの乱れやあごの成長不全を引き起こす大きな原因の一つとなっています。

のどだけを使って飲む

すべての歯を使ってしっかり噛むと共に、正しく飲むことも大切です。虫歯予防の面では砂糖を含むジュースや果物ジュースはできるだけ控えることは望ましいですが、その他の一般的な飲み物を、「のど」だけを使って飲んでください。のどの筋肉だけを使って”ごっくん”と飲むことで、正しく飲む習慣が身について、あご周りの筋肉が鍛えられます。これによってあごの健全な成長が促され、将来のきれいな歯並びへとつながります。 現代は柔らかい食べ物が溢れ、正しい食べ方を身につけなくても、食事をとることができます。しかしそれを続けていると、大人になってから歯並びや嚥下をはじめとする口腔機能に影響を与える可能性があります。歯科が提案する食育としての”唇を閉じて奥歯でしっかりと咀嚼する”ことを意識した、正しい食べ方を身につけてください。

監修者情報

公開日:2023年07月10日

理事長

理事長 松岡 伸輔

芦屋M&S歯科・矯正クリニックのWebサイトにようこそお越しくださいました。
平成15年の開設以来、芦屋市周辺の皆様のお口の健康維持のために日々診療しています。

当院は虫歯や歯周病治療などの一般歯科をはじめ、インプラント治療や入れ歯治療など歯科全般に対応します。
なかでも得意としているのは矯正歯科です。日本矯正歯科協会に所属する矯正歯科の専門医が小児矯正にも成人矯正にも対応し、インビザライン(マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置)認定ドクターも在籍しています。
専門的な矯正歯科と一般歯科を並行してご提供して、総合的な口腔ケアをおこなう歯科医院です。
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