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コラム
親知らずの抜歯について
奥歯に生えてくる「親知らず」は、他の歯と比べて遅く生えてくるために、その存在を確認できなかったり、親の寿命と関わったりなど、いろんな意味が隠れています。イタリアでは、子どもが大きくなって思慮や判断力が養われた頃に生えるので、「思慮や判断力の歯」と呼ばれているそうです。今回はそんな「親知らず」の是非について考えてみましょう。
親知らずとは?
「親知らず」は「第三大臼歯」が正式名称の歯で、上下顎とも左右の最も奥にある歯のことです。人によってはできないこともあり、それはそんなに珍しいことではありません。一般的な永久歯と違って、10~20代に萌出するのが特徴ですが、生え方の異常や腫れ、痛みなどトラブルを起こし易く、抜歯を必要とする場合が多くあります。親知らずを抜歯した方が良い場合
- 中途半端に生えて、歯の一部だけがみえている場合
- 横向きに生えてきている場合
- 歯並びを悪くする恐れがある場合
- 骨の中に完全に埋まっているが、レントゲンで見ると問題がある場合
- 痛みを伴う虫歯が進行している場合
- 親知らずのせいで第2大臼歯に虫歯や歯周病が及ぶ場合
- 親知らずのせいで歯茎が腫れる場合
- 親知らずのせいで口が開けにくくなっている場合
- 対合する親知らずがないので、歯茎を噛み込む場合など
親知らずを抜歯しなくて良い場合
- 真っ直ぐに生えてきている場合
- 上下の親知らずがしっかり噛み込んで、噛み合わせとして役に立っている場合
- 歯茎の中に完全に埋まっていて、レントゲンで見ても問題がない場合
- その他、特に悪影響を及ぼすことがないと判断された場合
手術時間と費用
親知らずの状態や、歯科医師の技術によって大きく異なります。普通の歯を抜くのと同じようにすぐ抜ける場合もありますが、歯の大部分が骨の中に埋まっていたり、歯と骨が引っ付いていたり、歯の根っこの形が複雑な場合は、抜くのに時間を要します(5分から1時間程度)。保険診療と自由診療で差があります
基本的には健康保険が適用されますが、親知らずの生え方は人其々で、その処置が異なるため、かかる費用も少しずつ違います。「生えている方向」「どれくらい骨の中に埋まっているか」「骨を削る必要があるか」などを考慮して、費用を決めます。(およそ2,000円~5,000円) 本来なら健康保険が適用され一部負担で済むはずですが、事情により健康保険に加入していない場合は、全て実費払いの自由診療となります。(およそ2万円~3万円)抜歯後のトラブル、痛みと腫れ
抜歯後の痛み
親知らずを抜歯してから1時間前後すると、麻酔が切れはじめ徐々に痛みが出てくることが多いようです。痛みへの個人の感受性や抜歯箇所の状態にもよりますが、症状が消えるまでには7~10日前後かかるでしょう。抜歯後の腫れ
親知らずを抜歯してから、約12時間後から腫れ感が出始め、24~36時間前後が頬の腫れのピークといわれます。およそ7~10日かけて腫れが落ち着いてきます。尚、下の親知らずを抜いた場合は、上の親知らずの場合より歯茎の腫れが酷くなり易いです。これは下顎の親知らずには多くの神経と血管が集まるところがあるのが原因とされ、腫れの程度の酷い分だけ、腫れが引くにも時間が少々かかる傾向があります。抜歯後におすすめの食事と避ける食事
食事が始められる時期
通常、親知らずを抜歯する時は局所麻酔を使って施術します。抜歯後は麻酔が切れるまで食事を控えた方が良いでしょう。麻酔が効いている間は、口腔内の熱や痛みを感じる感覚が無くなっているので、思わぬ火傷や怪我に繋がる恐れがあります。麻酔が切れるのはおよそ2時間後くらいですから、抜歯後3時間を目安に飲食は控えておいた方が良いでしょう。治癒スピードを高める血餅について
抜歯をすると、その箇所から出血しますが、その血を放っておくと血の塊「血餅(けっぺい)」ができます。所謂かさぶたのようなもので、傷口が治るスピードを速めてくれます。指や舌先、あるいはうがいなどで血餅が取れてしまうと、傷口の治りが遅くなり、抜歯後の穴が塞がらずに骨が露出してしまい、ドライソケット(※)の原因になります。 ※ドライソケット:本来、骨は歯茎に覆われるものですが、抜歯後何らかの原因で骨の上にかさぶたができず、歯茎が作られずに骨の表面が出たままになっていると、食事の際に物が直接骨に触れて強い痛みを伴います。 抜歯後はしばらく、うがいをしないで、溜まった唾液を吐く程度に留め、血餅を保護してください。避けた方が良い食べ物
抜歯を行った当日は、傷口の治りを早める血餅が取れ易いので、食事にも配慮が必要です。 刺激の強いものは傷口に良くなく、患部にもしみます。熱いものを食べると、その熱により血管が開いてしまい、傷口から再出血する可能性があります。また、硬いものは傷口を傷つけてしまうので、避けてください。NGな食べ物の例
カレー・担々麺・キムチ・アルコール・せんべい・スナック菓子などおすすめの食べ物
極端に熱い物や冷たい物は患部を刺激する恐れがあるので、なるべく熱を冷ました状態で食べる方が良いです。抜歯後は数日痛みが残っているので、数日から数週間かけて柔らかい食べ物から通常の食事に徐々に移行して行くのがベストです。おすすめの食べ物の例
雑炊・おかゆ・スープ・温うどん・温そばなど監修者情報
公開日:2023年07月10日
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