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コラム
根面う蝕とは何?
根面う蝕(根面カリエス)は、口腔内に露出した歯冠部に生じる一般的な虫歯と異なり、本来歯肉に守られている歯根部に生じる虫歯の事です。今回はあまり聞きなれないが、高齢者には多くみられる、根面う蝕(根面カリエス)についてのご紹介です。
根面カリエス
根面カリエス(根面う蝕:root caries)とは、歯根(歯の根っこ)にできるカリエス(虫歯)のことをいいます。根面カリエスは若い人には少なく、年齢が高くなるにつれて多くなる傾向にあります。普通の虫歯
普通の虫歯は、歯の表面についたプラークから虫歯菌が酸を出して、最初は歯の白い部分:歯冠のエナメル質を溶かして穴を開けます。その穴がだんだん内部の象牙質に拡がっていきます。プラークがついたエナメル質は、食事をするたびに少しずつ溶けますが、唾液成分がこれを修復しているのです。この循環は繰り返されるのですが、修復には数時間かかるので、間食がダラダラと続くと虫歯になり易くなるのです。普通の虫歯では、エナメル質に穴を開けても、すぐには神経に達しません。歯冠部分の象牙質には、厚みが3~6㎜程度あり、象牙質を溶かして神経部分に炎症を起こすには、かなり時間があります。水がしみたり、時々疼いたりなどの自覚症状が起きる場合は、象牙質に虫歯が侵襲している期間に起こるのがほとんどです。だから、この時期に虫歯を治療すれば、神経を保存することが可能になるのです。困った虫歯
歯茎が下がってエナメル質(歯冠部分)の下の象牙質が露出し、歯が伸びてきた状態になるのです。この露出部分にプラークが付着したり、唾液が減少すると歯の修復機能が遅れ気味になって、歯根部分が虫歯になるのです。この露出した歯根部分は、エナメル質がある歯冠部分と違って柔らかく、また、歯の神経への距離(2㎜程度)が近いために、比較的早い段階で神経にダメージを与えることになるのです。エナメル質と象牙質の違い
・エナメル質:その成分の大半(97%)はハイドロキシアパタイトという無機質で構成され、これを削るにはダイヤモンド粉末を散りばめた刃物が必要となるほどです。 ・象牙質:ハイドロキシアパタイトの割合は70%で、残りはコラーゲンなどの有機成分の構成になっており、外からの刺激に弱い性質を持っています。臨界pH
エナメル質や象牙質は、虫歯菌が作る酸によって歯質が溶け、病態が進行します。この酸によって歯質が溶ける反応を「脱灰」と呼び、「臨界pH」という指標に達すると脱灰が起こります。エナメル質の臨界pHは5.5~5.7、象牙質6.0~6.7と、象牙質の臨界pHのほうが高いので、6.0の酸性刺激が加わると象牙質は溶けてしまいます。根面が露出している場合に、虫歯が発症し易い理由の一つがこれです。治療
治療は一般の虫歯と同じ方法ですが、難易度が増すことになります。根面う蝕では、根の周囲を帯状に虫歯が拡がることがあるので、上部の歯冠部分が健康でも根の周囲を削って治療することになります。最悪、健康な歯冠部が取れてしまうこともあるのです。多発性根面う蝕
主に高齢者(早い人では50代から)の歯周病患者に多くみられるのが、多発した状態の根面う蝕です。歯磨きをしっかりと行わず、歯周病が進行すると、根が露出して唾液の分泌が減少し虫歯への抵抗性が低下すると、露出した根の部分に数本から数十本に渡って根面う蝕が現れます。二次カリエス
被せ物をしている人は注意
虫歯治療で銀歯や詰め物をした後、歯とその銀歯や詰め物の隙間から虫歯になることをいいます。二次カリエスになる原因として挙げられるのは、銀歯や歯の詰め物の劣化から菌が入って虫歯になることです。治療した後、虫歯の心配がないと安心して油断していると、ケアが十分なされず、虫歯になることが多くなります。二次カリエスは一度歯を削って治療した歯ですから、神経との距離が短くなっており治療するには、神経を抜かなければならないケースもあります。根面う蝕の予防ケア方法
歯ブラシの選択
根面部は柔らかい象牙質が占めるので、普段使っている歯ブラシよりも、やや柔らかめで毛先の細いものがおススメです。歯磨き粉の選択
根面う蝕予防に効果のある成分をあげてみました。コーティング成分の配合
ピロリドンカルボン酸(PCA)は象牙質表面のコラーゲンをコーティングさせる効果があり、フッ素を長く留めて虫歯を抑制できます。フッ素含有量が高い
フッ素を含むことで、エナメル質と象牙質の虫歯を予防します。知覚過敏抑制効果
硝酸カリウムが歯髄神経の興奮を鎮めて痛みの伝達回路を遮断します。歯肉炎予防殺菌成分
殺菌成分の塩化セチルピリジニウムが口腔内の虫歯菌だけでなく、歯肉炎や口臭などを予防できます。監修者情報
公開日:2023年07月10日
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