知っておきたい歯列矯正治療の流れ

歯並びが気になり、歯列矯正を考えている人はたくさんいます。しかし治療期間の長さがネックとなって矯正治療をためらっている人も多くいるようです。今回ご紹介する歯列矯正治療の流れを知っておけば、安心して受けられるようになると思っています。

治療開始から終了までの流れ

歯列矯正の治療期間は約２年程度かかるのが一般的です。以下では、どのような流れで治療が進められるかを、カウンセリングから保定期間まで順を追って、ご紹介します。

１ーカウンセリング

・所要時間：30～60分程度
カウンセリングではお口の悩みや治療に関する不安などが相談できます。歯列矯正のメリット・デメリット、装置の種類、費用、おおよその治療期間、通院回数など、歯や治療に関する様々な疑問や悩みを相談してください。メモなどを取って聞けば安心ですね。無料カウンセリングで対応してくれる医院も多くありますので、気軽に相談してください。

２ー精密検査

・所要時間：60分程度
歯並びや噛み合わせの状態、骨格や歯の生え方などを専門機器を使って検査します。検査項目はクリニックによって異なりますが、歯型の採取や噛み合わせの検査、レントゲン撮影（口腔内・頭部）、CT検査、写真撮影（口腔内・顔貌）、虫歯や歯周病のチェックなどが行われます。

３ー診断と治療計画の説明

・所要時間：30～60分程度
精密検査の結果は約１～2週間程度後に、出てきます。治療計画の説明は、初診時のカウンセリングと精密検査の結果を基に行われます。初診時のカウンセリングでは、おおよそであった治療期間や通院回数、費用、抜歯の有無などが決定されます。あとで不安が残らないよう、疑問に思う箇所はしっかりと質問してください。提示された費用や治療計画に同意すると、治療が始められます。

４ー歯列矯正準備

歯列矯正中は狭い口腔内に複雑な装置が装着されているので、隅々まで歯ブラシが届き難く、虫歯や歯周病のリスクが高まります。そこで精密検査の結果、虫歯や歯周病の治療が必要と診断された場合は、装着前にしっかり治す必要があります。尚、検査の結果、抜歯が必要と診断された場合は、このタイミングで抜歯を行うことがあります。

５ー矯正治療の開始、装置装着

・所要時間：30～60分程度 矯正装置を装着し、ホームケアの仕方や装置の取り扱い、注意事項などが説明されます。これより約１年半から２年かけて、歯並びや噛み合わせを整えていきます。

６ー調整期間、定期通院

・通院期間：１年半～２年程度（１回/月程度）/調整時間：30～60分程度
通院調整期間中は、歯の動きに合わせてワイヤーや針金の調整が行われます。尚、装置調整と併せて歯のクリーニングや歯磨きのトレーニングなどを受けながら、虫歯や歯周病の発生も防ぎます。 治療開始１ヶ月
「噛むと痛い」「食べ物が引っ掛かる」など、しばらくは食事や歯磨きに困ることが続きますが、装着から１ヶ月程度は慣れるための準備期間と思ってください。違和感が強いのは１ヶ月程度で、その後は徐々に慣れてきます。 治療開始～６ヶ月
この頃には装置にもすっかり慣れ、違和感も少なくなっています。歯がダイナミックに動いているので、日に日に歯並びが変わっていくことに嬉しさを感じる時期です。ガタガタだった前歯がキレイに並び、抜歯した隙間が閉じてきたなど、口元の変化にモチベーションが上がります。 治療開始１年
「歯の移動」から「噛み合わせや隙間の調整」にシフトチェンジする「調整期間」に入っているので、大方の歯並びは整っているはずです。以前のような見た目の大きな変化は少ないので、治療が順調に進んでいるか不安になる頃ですが、お口の中は日々変化しています。 治療開始１年半（最終仕上げ）
矯正治療の総仕上げとなる重要な工程ですから、半年ほどかけてじっくり調整しながら、見た目だけでない機能的な歯並びに近づけていきます。歯並びや噛み合わせの状態によっては、新しい装置の装着や日常的に顎間ゴム（エラスティックゴム※）の使用など、噛み合わせを重点的に微調整を行います。
※顎間ゴム（エラスティックゴム）：上下の装置にゴムを引っ掛けて、患者さん自身で噛み合わせのコントロールをする治療のひとつです。ゴムが邪魔で口が開け難いなどのストレスがありますが、仕上がりのクオリティを左右する大切な治療となっています。

７－装置の取り外し、リテーナーで保定

・保定期間：１～３年程度
歯並びがきれいに整い、噛み合わせや見た目も良ければ、装置を取り外します。しかし矯正装置を取り外した後は、せっかくキレイに並んだ歯が元に戻らないよう、「保定装置（リテーナー※）」を装着して、歯並びを安定させる必要があります。お口の状態により個人差はありますが、１～３年程度の保定期間が必要です。３～６ヶ月に一度のペースで通院し、経過観察が行われます。以上、７つのステップが完了して、歯列矯正は終了となります。
※保定装置（リテーナー）：矯正装置を外した直後は、ほぼ１日中着用するのが望ましいのですが、歯並びが安定してくる半年～１年すれば、徐々に装着時間を減らすことができます。尚、保定装置には取り外しができるタイプや、マウスピースタイプ、歯の裏側にワイヤーを固定するタイプなどがあります。
いかがでしたか、歯列矯正は長期間かかります。特に「最終仕上げ」と「保定」の工程をおろそかにすると、しっかり噛めない上に、治療後の後戻りの可能性が高まります。保定装置をしっかり着用し、定期検診で後戻りのチェックとリテーナーのメンテナンスを受けることが大切なポイントになっています。