健康に重要な唾液の力

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コラム

健康に重要な唾液の力

唾液は私たちにとって重要な役割を果たしています。食べ物を飲み込み易くし、口や舌の動きを滑らかにしてうまく話すことができるようにし、また虫歯になり難くする作用もあります。今回はそのような健康に重要な働きをする唾液について、ご紹介します。  

唾液の重要な働き

消化を助ける

食べ物を胃腸に運ぶ前に、お口の中の唾液に含まれるアミラーゼと呼ばれる消化酵素によって、消化し易い状態を作って、食べ物の消化吸収を助けることで、胃腸への負担を軽減してくれます。その上、よく噛むことで唾液の分泌量が増えます。よく噛んで食事をとると、栄養の吸収率が高まります。  

抗菌作用

唾液による抗菌作用で、細菌やウイルスの侵入を防ぐだけでなく、傷を修復し回復を促進します。唾液成分のリゾチームやペルオキシターゼ、ラクトフェリンなどは細菌の増殖を抑え、細菌やウイルスの体内への侵入を防ぎます。唾液に含まれる「上皮成長因子(EGF)」は、細胞を活性化し再生機能を助けます。ちょっとした切り傷や擦り傷の時に唾をつけ、ケガをした動物が傷口を舐めて治すのも、唾液の抗菌作用と傷の修復作用によるのです。また傷の修復を助け回復を促進させることは、医科や美容分野でも幅広く応用されています。  

自浄作用

唾液は1日に約1~1.5リットル分泌され、常にお口の中を潤し分泌することで、お口の中の菌や磨き残しを洗い流す自浄作用があります。唾液量に個人差はありますが、唾液が多いほど自浄作用も高くなり、虫歯や歯周病、口臭のリスクを減らします。  

粘膜保護と潤滑作用

唾液に含まれる天然の潤い成分ムチンは、舌や頬の粘膜を保護し、咀嚼した食べ物を包んで飲み込み易くする役割があります。会話する時に、舌や唇を滑らかに動かしてスムーズに発音できるのも、唾液がお口の中を潤しているから、食事や会話を楽しめるのです。  

虫歯を防ぐ

唾液にはお口の中のpH(ペーハー)を一定に保つ働きがあり、お口の酸から大切な歯を守って虫歯を防ぎます。虫歯が発生するのは細菌が出す酸のせいで、歯の表面が溶かされるためです。食事をすることで、お口の中のpHが酸性に傾き、虫歯の原因である「酸」を発生し易くなるのです。唾液には酸性に傾いた状態を中和して、pHを正常な状態(中性)に戻す作用があります。これを「唾液の緩衝能」といい、唾液の分泌量が高いと唾液緩衝能の作用も高くなり、虫歯になりにくい傾向になります。  

再石灰化作用

唾液の中にはリン酸イオンやカルシウムイオンなどの天然ミネラル成分が含まれています。 これらのミネラル成分は「脱灰」という虫歯の一歩手前の状態から、エナメル質を修復し虫歯の進行から歯を守ります。これを歯の再石灰化といいます。お口の中は、酸によって起こる「脱灰」と「再石灰化」を繰り返して、微妙なバランスを保つことで虫歯を防ぐのです。  

唾液中の1%の成分が全身の健康をサポート

唾液の99%は水分ですが、残りの1%には100種類以上の成分が含まれており、さまざまな病気の予防や心身の健康に影響を及ぼします。毛細血管の中の血液が唾液腺を通過する時に、唾液が作られて口の中に送られます。その時に作られた唾液に含まれる成分の一部が血管を通じて全身に運ばれていくのです。  

腸内フローラのバランスを整える

腸内フローラは、善玉・悪玉菌や日和見菌が混在する腸内細菌の集まりのことです。この腸内フローラのバランスがとれていると全身の免疫力が高まり、崩れると体調を崩す原因となります。  

細菌やウイルスを撃退

唾液には様々な抗菌物質が含まれ、なかでも最大の働きをしているのが、IgAという成分です。 IgAは細菌やウイルスなどの異物からカラダを守る抗体で、唾液腺で常に作られ続けています。人の粘膜には異物の侵入を防ぐ粘膜免疫というバリア機能があり、 IgAはその主役となる抗体で、これが少なくなると風邪をひきやすくもなります。抗体は異物(抗原)に対して一対一で対応しますが、 IgAは似たような複数の異物に対応できるのが特徴となっています。  

睡眠の質を高め、快眠を促す

唾液に含まれる健康に関わる様々の成分の一つとしては、 IgA以外にメラトニンがあります。メラトニンは脳やカラダを睡眠に導きやすくするホルモンです。主に脳の松果体という部分で作られますが、唾液腺からも分泌されます。メラトニンは夜に分泌量が増して、脳やカラダを眠りに誘うのです。  

お肌をツヤツヤに保つ

唾液に含まれる成分には成長因子という、細胞分裂や増殖に関わるタンパク質があります。 そのうちの一つがFGFと呼ばれ、肌細胞に働きかけます。FGFはコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などを増やすシグナルを出して細胞の働きを助けるのです。  

の他の成長因子

唾液に含まれる成長因子としては、FGF以外にも以下のものがあり、それぞれ有効な働きをしています。  
EGF
皮膚や粘膜の表面を覆う細胞に信号を送って、擦り傷や切り傷を修復する新陳代謝を促します。  
BDNF
脳の神経細胞に働きかけて分化や増殖を促す脳由来の神経細胞の栄養です。ストレスによる脳の神経細胞へのダメージを抑える働きがあり、ストレス耐性が上がるのでメンタル強化にもつながります。  
NGF
神経細胞の活動を促し、細胞の修復を担当することで、脳の老化を抑えて若返りを促すアンチエイジング効果が期待されます。     いかがでしたか、このように唾液には驚くほどの多くの成分や抗菌物質が含まれているのです。これらによって私たちの健康や美容は支えられています。

監修者情報

公開日:2023年07月10日

理事長

理事長 松岡 伸輔

芦屋M&S歯科・矯正クリニックのWebサイトにようこそお越しくださいました。
平成15年の開設以来、芦屋市周辺の皆様のお口の健康維持のために日々診療しています。

当院は虫歯や歯周病治療などの一般歯科をはじめ、インプラント治療や入れ歯治療など歯科全般に対応します。
なかでも得意としているのは矯正歯科です。日本矯正歯科協会に所属する矯正歯科の専門医が小児矯正にも成人矯正にも対応し、インビザライン(マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置)認定ドクターも在籍しています。
専門的な矯正歯科と一般歯科を並行してご提供して、総合的な口腔ケアをおこなう歯科医院です。
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