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コラム
サルコペニアと嚥下障害の関係
椅子立ち上がりテスト年齢を重ねる、あるいは病気により筋肉量が減ることをサルコペニア(sarcopenia)といいます。サルコペニアになると、体を動かす力が低下し、転倒や骨折などしやすくなるだけでなく、嚥下障害(飲み込みにくくなる)を起こしたり、閉じこもりがちになったり、死亡率も上がるようになります。今回は、サルコペニアが引き起こす嚥下障害との関係について、ご紹介します。
・4~5㎏の物を持ち上げて運ぶのは、どの位大変ですか?
・部屋の中を歩くのは、どの位大変ですか?
・イスやベッドから立ち上がるのは、どの位大変ですか?
・階段を10段上るのは、どの位大変ですか?
・この1年間で、何回転びましたか?
BMI:体重㎏÷(身長m)²=21以下である 75歳以上である
サルコペニアとは
70歳未満の高齢者の約20%、80歳以上になると50%以上の人がサルコペニアになるといわれます。原因
サルコペニアは、加齢による”一次性サルコペニア”と、活動不足や病気、栄養不良によって起こる”二次性サルコペニア”に分かれます。一次性サルコペニア
筋肉量の減少は誰にも起こるもので、一般的には25~30歳頃から始まり、年齢を重ねるにつれ徐々に進行していきます。このような加齢によるサルコペニアには、運動ニューロンや筋衛星細胞(サテライト細胞)の減少、成長ホルモンやテストステロンの分泌低下、炎症性サイトカインの増加、加齢に伴う食欲不振による体重減少などが関係するとされています。二次性サルコペニア
活動が不足すると骨格筋量が減少し、座ったリ寝たりする姿勢が長いと特に下半身の筋力が低下します。また、臓器不全や炎症性疾患、内分泌疾患、がん等の病気に付随してサルコペニアに陥ると、病気による安静を強いられて、不活動になることもサルコペニアの原因です。尚、栄養面ではエネルギー、総タンパク質、必須アミノ酸のうちのBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)の摂取不足がサルコペニアを誘発する原因になるといわれています。症状
筋肉量が減少して筋力が低下することで、立ち上がりや歩くのが困難となり、頻繁につまづく、思うように体が動かないなどの症状が現われます。このような症状により、QOLが低下するだけに留まらず、さらなる不活動を招くことで寝たきりになることもあります。転倒や骨折の危険性が高まる原因にもなります。また、筋肉量の減少により血糖値を調整する力が低下して、血糖値が変動し易くもなります。物忘れや免疫力の低下、呼吸機能低下、嚥下機能低下につながると報告されています。検査・診断
一般的に骨格筋量、握力、歩行速度の3つを基に診断します。骨格筋量の測定には、DXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)やBIA法(生体電気インピーダンス法)が選択され、X線や微弱な電気を用いて、一定以上低下している上に、握力が男性で28㎏未満、女性で18㎏未満であり、通常歩行速度が1m/秒未満である場合に、サルコペニアと診断されます。尚、歩行速度の代わりに、5回椅子立ち上がりテストやSPPB(バランス、歩行テスト、5回椅子立ち上がりテストから身体能力テスト)が行われることもあります。5つの質問で点数化
5つの質問の回答で、「全く難しくない=0点、いくらか難しい=1点、とても難しくてできない=2点」の合計点数が4点以上の場合は、サルコペニアの危険性が高いです。・4~5㎏の物を持ち上げて運ぶのは、どの位大変ですか?
・部屋の中を歩くのは、どの位大変ですか?
・イスやベッドから立ち上がるのは、どの位大変ですか?
・階段を10段上るのは、どの位大変ですか?
・この1年間で、何回転びましたか?
BMI:体重㎏÷(身長m)²=21以下である 75歳以上である
サルコペニアの嚥下障害トレーニング
レーニングは週3回を目安に、体調や筋力向上に伴って、適宜回数やセット数を変えても構いません。舌圧の改善方法
ペコぱんだ(※)のトレーニング部を舌の上に乗せて、位置決め部を歯でくわえて、舌でトレーニング部を繰り返して押しつぶします。ペコぱんだを頬張って押しつぶせる硬さのものを5回3セット行います。 ※ペコぱんだは、舌の筋力を強化するために開発された自主訓練用トレーニング用具です。舌骨上筋群の筋力を強化する方法
ゴムボール顎引き抵抗運動
まっすぐに座るか立って、肩を軽く後ろに引きます。ボールを顎の下で挟んで、この姿勢を運動中、維持してください。ボールに向かってできるだけ強く顎を引き続けます。30秒間持続し、これを3回行います。次に顎を引いたり、力を抜いたりを10回、3セット行います。尚、適宜回数を変えても構いません。これにより食道の入り口部が開き易くなります。誤嚥したものの排出を強化する方法
大きく腹式呼吸を行って、ピロピロ笛を口に咥え、一気に吹き伸ばします。吹き伸ばしたまま5~10秒程度、巻き戻らないほどの最小呼吸で吹き続けてください。最後に笛を巻き戻して終わりとなります。この一連の動作を1回として、10回2セット行います。食道の機能改善方法
ブリッジの姿勢で、空の嚥下を10回行って下さい。この方法は、薬が残っていたり、逆流したりする場合に行います。サルコペニアを改善する方法
まず、タンパク質を十分に摂取し、スクワットを10回3セット行ってください。 いかがでしたか、サルコペニアによる嚥下障害には、主治医や看護師、介護福祉士、管理栄養士、療法士などが、全身状態の改善や栄養状態の向上、嚥下運動の改善、活動量の増加などを評価・判断し、口腔ケアと歯の喪失を補う歯科医師、歯科衛生士等を含むチームアプローチで実践されることが望まれます。監修者情報
公開日:2023年07月10日
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