芦屋の歯医者なら芦屋M&S歯科・矯正クリニック

歯の矯正治療(※1)は一般的に約2年半～3年もかかります。しかし、最近は大人になってから歯並びを治したい、ブライダルなど、この日までにきれいな歯並びになりたい、といった患者さんの希望に沿った治療としてスピード矯正があります。今回はそのような話題のスピード矯正について、紹介しましょう。 ※印については、以前に述べたブログ＃の項目を参照してください。

スピード矯正とは

歯の矯正は、美しく機能的な歯並びにするのにかなりの時間と費用をかけることになります。スピード矯正では通常より早く歯を動かすことで、その人のニーズに合った期間を目標に治療します。方法としては、従来の矯正方法に様々な治療方法を併用します。スピード矯正には大きく分けて2つのタイプ、外科的処置が必要なものと必要しないものに分けられます。

外科的処置が必要なもの

コルチコトミー法（歯槽骨皮質骨切除術） 従来の矯正の考え方を大きく発展させた方法で、動かしたい歯の周りにある骨に切れ目を入れて骨ごと動かすので、歯の動く範囲を拡げ、歯が動く際の抵抗を減らすことで矯正スピードを早めます。再生された骨はより強く丈夫なので後戻りが少ないといわれます。手術時間も1時間ほどと短く、リスクが少ない治療です。さらに、手術後の副次的効果として、皮質骨を除く時に掘る溝が、血液の巡りを活性化させ、歯肉がピンク色になると報告されています。 ヘミオステオトミー法 コルチコトミー法によって切除した骨の下にある海綿骨という柔らかい骨にヒビを入れることで歯を移動しやすくします。一般的にコルチコトミー法と併用される方法で、手術時間はコルチコトミーと合わせて1時間半程度の日帰り手術で済みます。矯正期間も従来の一般的矯正治療の1/4程度、最短6ヶ月で歯列矯正を終わらせることができます。 オステオトミー法（歯槽骨切除術） 歯槽骨全体にメスを入れて歯槽骨ごと動かして、歯の位置を正常な位置に戻します。主にヘミオステオトミー・コルチコトミー法では治療不可能な方に適用されることが多い治療法です。コルチコトミー法より短期間で矯正でき、術後の腫れも少ないとされます。但し、腫れについては個人差があります。手術時間の目安は約2時間で、その日のうちに帰宅できます。また、一度骨を切ると治療前よりも歯槽骨が丈夫になるといった効果があります。 インプラント矯正（※2） 通常のインプラントより小さな矯正用インプラント（直径1.4-2.0㎜、長さ6.0-10.0㎜）を奥歯または前歯の骨の部分に埋め込み、それを支点に歯の移動を効率的に行えます。本来ならば通常よりも時間がかかるような難しい症例でもインプラント矯正を用いることにより従来と同等の、もしくは従来の3/4ほどの期間で完了することが見込めます。尚、インプラントの材質は骨折時にプレート固定に使われるチタンですから、アレルギーが起こることはほぼありません。また、矯正用インプラントは小型ですから、埋め込み時の痛みはほぼなく、矯正治療後は撤去されるので、身体への負担も少なくキズが残ることもありません。 費用：1本25,000円～30,000円程度

外科的処置を必要しないもの

セルフライゲーティングブラケット 従来使われているブラケットというワイヤーの固定装置（※１）を改良して摩擦抵抗を少なくし、自然な力を継続的にかけることで隣接する歯も同時にスムーズに動かせます。従来のブラケットでは1本の歯に集中していた強い力を分散させて、治療期間を短くできます。 ※印については、以前に述べたブログ＃の項目を参照してください。 ※1－＃72ワイヤー矯正についてのお話 オルソパルス カナダのバイオラックスリサーチ社が開発し、2016年に発売された光による矯正加速装置です。1日10分間（上下顎各5分）、自宅で装置を使って口の中に光を当てるだけで、マウスピース矯正の治療期間を約1/3から半分まで大幅に短縮できます。外科手術のリスクを避けられる点や、アメリカ食品医薬局（FDA）の認可を受けている点からも安全性が証明されています。 デーモンシステム アメリカの女性矯正歯科医デーモン氏が開発したもので、ブラケットに通した形状記憶ワイヤーの力で矯正します。ブラケットとワイヤーを軽く接触させるだけの矯正でスタートするので、矯正中の痛みが軽くなります。尚、不正な歯並びに引っ張られてワイヤーが変形する恐れがなく、逆に矯正効果が上がって治療期間が短縮される効果を得ています。白色セラミックの導入で審美性でも評価が高くなっています。 クリアナップシステム クリアナップとは、クリアブラケットに被せる白いキャップのことです。矯正装置のワイヤーを留める針金やゴムに代わって、このクリアナップで軽く留めるシステムをいいます。 ワイヤーに緩い遊びができることで、歯の移動に必要な酸素や栄養素が歯茎に十分行き渡り、治療をスピーディに終わらせることが可能となっています。クリアブラケットに半透明のクリアナップを被せ、ホワイトワイヤーを使えば、審美的にも非常に優れた矯正装置となっています。 いかがでしたか、スピード矯正は、「痛みが少なく、短期間で良い治療結果が得られ、後戻りが少ない」など多くのメリットがある半面、「外科手術を行う場合は歯茎にダメージを与えることがある、歯槽骨が溶けてしまうことがある」などのデメリットもあります。治療にあたっては、歯科医師とよく相談してから決めることが大切です。