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コラム
虫歯の進行度とその治療法#1
歯が痛み出したり、穴が開いたりすると「虫歯ができた」と自覚する方は多いですが、「痛みのない虫歯」や「痛みがなくなる虫歯」もあります。虫歯は少しずつ進行するものですから、その進行度によって、歯の状態や自覚症状、治療方法が異なってきます。今回はそのような虫歯の進行度ごとの自覚症状や歯の状態、そしてそれぞれの状態での治療方法について紹介します。尚、今回は紙面の都合上、虫歯の進行度が歯の神経に届くまでの段階「C2」について、説明します。
虫歯の原因とできる仕組み
原因
虫歯の原因は、歯の表面についたプラーク(歯垢)の中に含まれるミュータンス菌などの細菌によります。プラークは舌で触れるとザラザラと感じ、プラーク1mgの中に、約10億もの細菌が住み着いているといわれます。元々、生まれたばかりの赤ちゃんには、虫歯菌はありませんが、虫歯菌を持つ両親や身近な人のスプーンやお箸・コップの共有、スキンシップなど、特に唾液を通してうつっていきます。虫歯のできる仕組み
1-食事をすると、虫歯菌が歯に残った食べ物の中の糖分を取り込む。 2-糖分を分解し、酸を作る。 3-作り出された酸によって、歯の成分(ハイドロキシアパタイト)が溶け始める(脱灰)。この脱灰状態が、虫歯の前兆となります。 4-再石灰化:食後、歯磨きをしないで放置していると、脱灰状態になりますが、約40~60分経てば唾液によって、酸が中和されます。また、唾液には一度溶かされた歯の無機成分(カルシウムやリンなど)を修復して、歯の表面を戻す働きがあります(再石灰化)。この歯の脱灰と再石灰化を繰り返してバランスが取れていると、虫歯にはなりません。 5-だらだらと食べ続ける、歯磨きの仕方が悪い、寝る前に間食をするなどで、脱灰や再石灰化のバランスが崩れ、脱灰状態が続くと、穴が開いて虫歯になってしまいます。虫歯の進行度と治療
虫歯の進行度は、英語で虫歯の意味、Caries(カリエス)の頭文字を取って、「CO、C1~C4」で表され、数字が大きくなるにつれ重症となります。 虫歯の基本的な治療の工程は以下のようになっています。 1-虫歯を削る。 2-虫歯の進行度がC3以上の場合は、根管治療を行います。 3-詰め物や被せ物、歯の代替処置を行います。 ただし、保険治療と自費治療では、詰め物や被せ物に使われる素材が全く異なり、診察にかける時間や二次虫歯、歯周病のリスク、審美性や耐久性などに大きな差が生じます。 CO(シーオー:虫歯の前兆)の症状と治療法 C0(シーゼロ)ではなく、CO(シーオー)と読み、「要観察歯」(Questionable Caries under Observation)の頭文字を取ったものです。 この段階で歯を削る必要はまだありませんが、自分で気づくことは少ないので、日頃から定期的に歯科医院で、歯の状態をチェックするのが望ましいです。 ・歯の状態:歯の表面からカルシウムなどが、少し溶け始めた(脱灰)面がある状態。 ・自覚症状:痛みはなく、歯が白っぽく濁る。 ・治療方法:フッ素の塗布(保険適用には条件あり)。フッ素入り歯磨き粉で丁寧に歯を磨く(セルフケア) C1(シーワン:初期の虫歯)の症状と治療法 痛みなく治療でき、歯を削るのも最小限で済むことが多いので、この段階で治療を受けることが望ましいです。 ・歯の状態:細菌によって、エナメル質が溶け始めた状態。 ・自覚症状:痛みはなく、灰色や薄茶色の穴・溝ができている。 ・治療方法:虫歯を削って、詰め物をします。 【保険治療】コンポジットレジン修復(詰め物) 虫歯部分を削り、白いプラスチック(レジン:合成樹脂)の詰め物を詰めます。 「メリット」:安価 「デメリット」:経年劣化により変色や詰め物の境に色が付くことがあります。 「費用」:1,500~2,000円/1本 【自費治療】ダイレクトボンディング(審美的ダイレクトレジン修復) 虫歯部分を削り、多種類のプラスチックで盛り付けていきます。 「メリット」:患者さん本来の歯(天然歯)のような色調や形の詰め物が入れられます。 「デメリット」:保険治療よりも変色し難いですが、経年劣化により変色や詰め物の境に色が付くことがあります。 「費用」:20,000~50,000円 ※医療機関により異なります。 C2(シーツー:本格的に進行し始めた虫歯)の症状と治療法 痛みを感じ始め、虫歯と気づく方も多くなります。エナメル質より柔らかい部分なので、C2から先への進行が一気に加速します。 ・歯の状態:エナメル質よりも内側の象牙質まで、虫歯が進行した状態。 ・自覚症状:痛みを感じ、虫歯部分が黒くなり(穴が開く)、冷たいものや甘いものがしみる、口臭が出る。 ・治療方法:虫歯部分を削って、詰め物(レジン修復・インレー修復)や被せ物(クラウン)をします。 【保険治療】コンポジットレジン修復 パテで穴を埋めるような感じで、白いプラスチック(レジン:合成樹脂)の詰め物を詰めます。奥歯の隣接面を含む虫歯や大きな虫歯には対応できません。 「メリット」:安価 「デメリット」:経年劣化により変色や詰め物の境に色が付くことがあります。 「費用」:1,500~2,000円/1本 【保険治療】メタルインレー(詰め物)、メタルクラウン(被せ物)修復 奥歯の隣接面を含む虫歯や大きな虫歯が対象で、金銀パラジウム合金で詰め物や被せ物をします。 「メリット」:安価 「デメリット」:素材に卑金属の銀も含まれるので、長期的使用には酸化・腐食・錆びやすくなり、金属アレルギーのリスクや歯茎に沈着・黒い変色が起きることがあります。銀色なら目立ちますし、二次虫歯(銀歯の内部で虫歯になる)のリスクが高くなります。 「費用」:約2,000円/1本 【自費治療】ダイレクトボンディング(審美的ダイレクトレジン修復) 虫歯部分を削り、多種類のプラスチックで盛り付けていきます。 「メリット」:患者さん本来の歯(天然歯)のような色調や形の詰め物が入れられます。 「デメリット」:保険治療よりも変色し難いですが、経年劣化により変色や詰め物の境に色が付くことがあります。セラミックの詰め物に比べ、強度が弱く、経年劣化により少しずつ削れていきます。 「費用」:20,000~50,000円 ※医療機関により異なります。 【自費治療】セラミック・ジルコニア修復(詰め物) 詰め物・被せ物の素材に、陶器のような材質の「セラミック」や、人工ダイヤモンドと呼ばれる「ジルコニア」を使います。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方には不向きとされます。 「メリット」:歯との適合精度が高く、接着剤の劣化も少ない、虫歯や歯周病リスクを下げることができます。又、見た目は天然歯のように美しく、金属アレルギーの心配もありません。 「デメリット」:セラミックは硬いが割れやすく、又、ジルコニアはエナメル質の約4倍の硬度があり、かみ合う反対側の歯(天然歯)に負担をかけることがあります。 「費用」:インレー(詰め物)30,000~100,000円/1本 クラウン(被せ物)50,000~150,000円/1本 ※医療機関により異なります。 今回は、虫歯の進行度C2までを紹介しました。次回は根管治療を必要とする、C3以降の虫歯について、紹介します。監修者情報
公開日:2023年07月10日
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