歯科での高額療養費制度について

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コラム

歯科での高額療養費制度について

入院や手術で医療費が高額になった場合、日本の健康保険では「高額療養費制度」という制度を使うことができます。世界にも誇れる大変すばらしい制度ですが、歯科(歯科医師による歯や口腔内の治療)ではどのように扱いになっているかについて、今回はご紹介しましょう。

高額療養費制度について

医療費は健康保険に加入していれば、3割の自己負担で済みますが、入院や手術を行った場合、思った以上に治療費用がかかることもあります。しかし、この高額療養費制度を利用することで患者さんの負担を軽減することができます。
同月内(月の初めから終わりまでの1か月間)で、医療機関や調剤薬局の窓口で支払った医療費の自己負担が一定の金額を超えると、超えた金額が市役所(国保の場合)や健康保険組合(社保の場合)等から支給されます。これは、自営業者やフリーランスの方が加入している国民健康保険と、公務員や会社勤めの方が加入している社会保険の両方で、共通の仕組みとなっています。
尚、支給額は加入者の年齢が70歳以上かどうかや、所得(月収や年収)水準によって異なります。

歯科での高額療養費の自己負担限度額

70歳未満の場合

・同じ人が同一の医療機関(ただし、入院と通院の医科・歯科は別計算)で、同一月に一部負担額が一定額を超えた場合、その超えた額が支給されます。
・同一世帯内の被保険者が同一月内に支払った金額(受診医療機関別に、なおかつ入院・通院の医科・歯科別(診療報酬明細など))が21,000円以上の場合、合算して一部負担限度額を超えた額が支給されます。
・同一世帯で、直近12ヶ月間に支給該当回数が4回以上の場合は、4回目から一定額(下記表の多数回該当額)を超えた額が支給されます。
所得要件:901万円超
・限度額:252,600円+(総医療費-842,000円)×1%:多数回該当140,100円
所得要件:600万円超~901万円以下
・限度額:167,400円+(総医療費-558,000円)×1%:多数回該当93,000円
所得要件:210万円超~600万円以下
・限度額:80,100円+(総医療費-267,000円)×1%:多数回該当44,400円
所得要件:210万円以下
・限度額:57,600円:多数回該当44,400円
所得要件:住民税非課税
・限度額:35,400円:多数回該当24,600円

70歳以上の場合

高齢受給者証を交付されている方は下記のように自己負担限度額が定められています。尚、月の途中で75歳となって後期高齢者医療制度へ移行する場合は、移行した月の自己負担限度額が記載金額の2分の1となります。
所得要件:Ⅲ課税所得 690万円超(現役並み所得)
・限度額:252,600円+(総医療費-842,000円)×1%:多数回該当140,100円
所得要件:Ⅱ課税所得 380万円以上(現役並み所得)
・限度額:167,400円+(総医療費-558,000円)×1%:多数回該当93,000円
所得要件:Ⅰ課税所得 145万円以上(現役並み所得)
・限度額:80,100円+(総医療費-267,000円)×1%:多数回該当44,400円
所得要件:課税所得 145万円未満(一般)
・外来(個人):18,000円(年間上限144,000円)
・限度額:57,600円:多数回該当44,400円
所得要件:住民税非課税(低所得Ⅱ)
・外来(個人):8,000円
・限度額:24,600円
所得要件:住民税非課税(低所得Ⅰ)※所得が一定以下
・外来(個人):8,000円
・限度額:15,000円

限度額適用認定証について

70歳未満の方、70歳から74歳の方で現役並所得Ⅰ、Ⅱ(課税所得145万円以上690万円未満)の方で医療費が高額になる場合は、事前に組合に申請して交付された国民健康保険限度額適用認定証(住民税非課税の世帯は限度額適用・標準負担額減額認定証)を医療機関に提示することで、1ヶ月あたりの窓口負担が高額になっても、高額療養費の自己負担限度額までとなります。証の交付や更新を希望する場合は健康保険組合支部事務所に問い合わせてください。

高額療養費制度での医科と歯科の取り扱い相違

医科や歯科での窓口負担金が共に21,000円以上であれば、高額療養費制度の合算対象になれます。しかし、「医科と歯科を合計して21,000円以上になる」という場合は対象となりません。尚、内科や外科など医科の診療科なら、窓口負担金を合算できます。
同月内でかつ同じ医療機関において、内科や外科などの複数の診療科を受診して、その窓口負担合計金が21,000円以上であれば、高額療養費制度の支給対象となります。
それに対し、歯科では例え同じ医療機関を受診していても、歯科だけで21,000円以上を計上する必要があるのです。
レアケースとして、歯科大学の附属病院などで、歯科の中でも「口腔外科」「口腔補綴科」などの複数科に専門分化されていた場合は、同一医療機関内の歯科ということで、合算計上できます。

自費診療は高額療養費の対象外

歯科ではインプラント治療や歯列矯正治療、顎関節症でない不正咬合など、保険が適用されない自費診療があります。
これらは保険適用外ですから高額療養費制度の支給対象とはなりません。また、通常の虫歯治療などにおいても、使用される材料によっては保険の効かないものがあることは、承知しておいてください。

いかがでしたか、医科と異なり歯科は独立した立場ですが、基本的に窓口負担金が21,000円以上の場合は、高額療養費制度の支給対象であることに変わりはありませんので、利用されることをお勧めします。

監修者情報

公開日:2023年07月10日

理事長

理事長 松岡 伸輔

芦屋M&S歯科・矯正クリニックのWebサイトにようこそお越しくださいました。
平成15年の開設以来、芦屋市周辺の皆様のお口の健康維持のために日々診療しています。

当院は虫歯や歯周病治療などの一般歯科をはじめ、インプラント治療や入れ歯治療など歯科全般に対応します。
なかでも得意としているのは矯正歯科です。日本矯正歯科協会に所属する矯正歯科の専門医が小児矯正にも成人矯正にも対応し、インビザライン(マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置)認定ドクターも在籍しています。
専門的な矯正歯科と一般歯科を並行してご提供して、総合的な口腔ケアをおこなう歯科医院です。
院内は衛生管理の徹底により安心して診療を受けていただけます。そして患者様目線を大切に、家族を診ているような丁寧で痛みをできるだけ抑えた治療をご提供します。
予防にも力を入れ、長い目で見たお口全体の健康維持をサポートしますので、気になることは何でもお気軽にご相談ください。