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一般によくいわれる金属アレルギーは、「金属接触アレルギー」と「全身型金属アレルギー」の2種類に分けられます。歯科医療におけるものは後者のタイプ、つまり、抗体の過剰反応による「全身型金属アレルギー」に該当します。今回は誰にでも、どのタイミングで出るのかも分からない、歯科における金属アレルギーについてのお話です。 ※印については、以前に述べたブログ＃の項目を参照してください。

金属アレルギーの種類

金属接触アレルギー

金属に触れた部分が赤くなったり、かゆみや発疹、水ぶくれなどのアレルギー症状が出ます。ピアスやネックレスなどによって発症されることがよくあります。

全身型金属アレルギー

汗や唾液などによって溶け出した金属がイオン化し、たんぱく質と結合することで、体がそれを「異物」と認識して、その人の許容量を超えると、過剰反応しアレルギー症状が出ます。この反応は誰にでも、すぐ起こるとは限らず、またその人の体質によってアレルギー反応が出るかどうか、どのタイミングで出るのかにも個人差があります。数日で発症する方や、数年経って突然出る方もいます。その症状も口の中だけに留まらず、体中の様々な部分に起こります。そのせいで、症状の原因が歯科金属にあると分からないことも多くあります。 イオン化傾向 イオン化傾向とは、金属が水溶液中で「陽イオン」になり易いことをいいます。例えば、「ニッケル」は、「金」、「プラチナ」、「銀」、「銅」より「陽イオン」になり易く、「汗や体液などに溶け出しやすい金属」といえます。

歯科金属アレルギーの症状例

顔や口の中に起こる症状

・歯茎が黒っぽくなる（色素沈着） ・歯茎の炎症 ・歯の変色 ・唇が赤く腫れて、ただれる ・舌がピリピリと痛い ・口内炎が頻繁にできる

全身に起こる症状

・全身の様々な場所で肌荒れ、かぶれ、かゆみ ・アトピー性皮膚炎に似た発疹、じん麻疹 ・脱毛症、頭痛、肩こり、自律神経失調症、喘息 ・イライラ感、憂鬱感、不眠症、疲れやすい、集中力の低下

金属アレルギー3大原因金属

金属アレルギーの3大原因金属といわれるのは、「ニッケル」、「コバルト」、「クロム」です。 その中でも、厚生労働省「平成27年度家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」の「金属のバッチテストの結果」によると、「ニッケル」に反応した方が圧倒的に多くなっています。「ニッケル」は安価で活用範囲が広く、金属製品に対して美しい艶と輝きがあって、扱いやすいので装飾品として多用されるせいで、「ニッケルアレルギー」の方が増える傾向にあります。そのため、「ニッケルフリー」や「低ニッケル」と表記する装飾品も多くあります。また、近年は「パラジウム」に反応する方も増加しており、金属アレルギー協会では「パラジウム」を加えて、「4大原因金属」と指定しています。

金属アレルギーの予防

夏場や運動時での注意

汗を大量にかく事が前もって分かっている場合は、装飾品を外すようにしてください。また、かゆみなどの症状が出た場合には、原因と思われる製品の使用を止めることが大切です。その後かゆみがなくなっても、その製品は使用せず、皮膚科などの専門医を受診して、適切な治療を受けてください。

金属製品選びに注意

普段からイオン化しにくい金属製品を選び、身につけるようにしましょう。「口腔内環境」においては、むし歯にならない生活をすることが大切です。たとえ、むし歯治療を行う場合でも、保険適用範囲で使われる金属については、その効用をよく理解した上で治療を受けるようにしてください。尚、歯科金属アレルギーによる症状が分かった場合には、体質に合った材料に置き換えるメタルフリー治療なども可能になっています。

メタルフリー治療

セラミック製インレー・クラウン・ブリッジ セラミックは本物の歯に近い見た目と強度を持ち、噛み合う歯を傷つけません。劣化しにくい素材ですから、将来的な再治療のリスクを抑えられ、患者様の負担を抑えます。歯科金属アレルギーをなくすだけでなく、審美的にも美しい治療が行えます。 ダイレクトボンディング(コンポジットレジン修復) ダイレクトボンディングは、歯をできるだけ削らない、必要最小限のノンメタル治療です。この歯科用金属を使わないメタルフリー治療は、最近の接着技術向上により可能となったもので、材料的にも進化を続けています。 いかがでしたか、歯科に限らず金属アレルギーはその他のアレルギーと同様、誰でもいつでも発症するリスクのあるアレルギーです。ただ、発症については「自分である程度注意できる」アレルギーなので、普段から発症しやすい金属製のものを避ける生活を送ってください。