芦屋の大型総合歯科医院、芦屋M&S歯科・矯正クリニック

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コラム

矯正治療前に知っておいてほしいこと

矯正治療には、「噛める」「見た目が良くなる」「歯が長持ちする」など、治療後、性格が明るくなって「人生が変わった」と実感する人がいるくらい、価値のある治療です。薬に副作用のリスクがあるように、矯正治療にもリスクはあります。しかし、デメリットよりメリットが大きく上回るからこそ、矯正治療が勧められます。今回は矯正治療によって起こり得ることを知っておくことで、その対処も可能になってきます。

矯正治療で起こり得る、事前に知っておいてほしいこと

虫歯(う蝕)、歯周炎・歯肉炎

矯正歯科クリニックで行う場合と、別の歯科医院で治療する場合とによりますが、矯正治療を始める前に、虫歯や歯周病を治療する必要があります。また矯正治療中においても矯正装置の周りなど、口の中が汚れやすく、ブラッシングし難い部分ができて、虫歯や歯周炎・歯肉炎のリスクが高まります。

対策:間食を控え、クリニックでブラッシング指導を受けて、毎日丁寧なブラッシングを行い、歯を清潔に保つ必要があります。尚、クリニックで特殊な機材を使って歯をクリーニングするPMTCや、フッ素塗布などで、定期的にケアすることも大変有効です。

歯根吸収

歯が動く時には、歯根も周りの骨の改造に伴って骨の中を動くことになります。そしてこの反応中に歯根が溶けるという反応が多かれ少なかれ起こり、これを歯根吸収といいます。

歯根吸収のメカニズム
矯正治療中において、歯根が動く側の骨が溶けて歯根が動き、反対側の骨が作られるという作業が繰り返されます。このメカニズムの最初においては、歯の周りにある血管の膜である「歯根膜」の中にいる「破骨細胞」が周りの骨を溶かします。それと同時に歯根も溶かす作用があるのです。治療中にレントゲンで見て、歯根吸収が確認されるのは歯根が1/3程短くなった場合で、ケースとしては3~5%程度となっています。元々歯根が短いパターンを除いて、その後の生活に問題があるものではありません。

歯髄壊死

著しく歯列から逸脱した歯など、その移動量が大きい場合や複数回治療した歯では、神経血管が弱くなっている傾向が見られます。その場合、感染がなくても矯正治療中に歯髄炎が発生し、神経血管が失活して、歯の色がだんだん灰色に変色したり、歯茎から膿がでることが
稀に起こります。発現率は1%もありませんが、本格的矯正治療の初期に起こります。歯髄壊死が発覚したした場合は将来的に根管治療が必要となります。

矯正治療中の歯髄壊死
年齢に関係なく、上の前歯に起きやすく、治療開始から3ヶ月以内に発生するケースが2/3を占めているとの報告があります。また、若干ですが表側ワイヤー矯正装置よりマウスピース型矯正装置(インビザライン)の方が発生率は高まると報告されています。これはマウスピースの方が矯正力のコントロール管理が難しいことや、着脱時に強い力がかかることが理由とされています。

対処方法
「熱いものがしみる」などの歯髄壊死手前の急性歯髄炎の症状がある場合は、一旦、矯正治療の力を弱めて経過観察を行います。その後、回復傾向になく、歯根部の歯茎が腫れるなどの症状がみられた場合は、根管治療を施すことになります。尚、歯の変色については、漂白または補綴物によって調整が行えます。

歯肉退縮

矯正治療で失った歯茎や骨が回復することはなく、乱ぐいが強い方や軽度歯周病の方は、見た目以上に骨が少なく治療後に歯肉が下がる事があります。これによりブラックトライアングル(※)という隙間の目立つ状況が発生する可能性があります。
※ブラックトライアングル:歯列不正においては、隣り合う歯同士が密着しており、その間の歯周組織が喪失するか、かなり薄い状態になっていることが多くあります。そこで矯正治療を行うと、歯列はきれいに並びますが、歯と歯の間に三角形の隙間ができてくることがあります。

歯肉退縮が起こり易いケース
矯正治療による歯肉退縮を予期することは難しく、1ヶ月程度で急激に進行してきます。発生し易い方の特徴には以下の3つが挙げられます。
・歯茎のタイプが薄い方
・歯列拡大のための治療
・デジタル矯正治療(※)
※デジタル矯正治療:歯・歯根・骨を3Dデジタル化して、仮想患者を用いた治療計画を立てられるので、より安全で的確な歯の移動が可能となっています。

対処方法
歯肉退縮が一度起こると、回復させるのはかなり難しいといえます。マウスピース型矯正装置の場合は、再度歯根部を歯茎に戻す動きを入れて回復を図りますが、その成功率は40%程度です。また、遊離歯肉移植術という、歯茎の下がった部分に上顎の内側から硬い歯肉を移植して回復させる治療があります。

後戻り

治療後は必ずリテーナーというメンテナンス装置を2~3年の間装着しますが、最初の半年の間はしっかり使用していないと、早期に後戻りが発生します。

後戻りのメカニズム
歯と歯茎の隙間の血管膜(歯根膜)が活動することで、矯正治療中の歯が動くので、矯正治療後の歯根膜はまだ開いた状態にあります。その後6ヶ月~1年かけて徐々に歯根膜が引き締まり、周囲の骨も形成されて歯並びは落ち着いてきます。そのため、この時期に何も固定するものがないと歯は元の位置に戻ろうとします。

長期的期間での後戻り
歯並びは毎日、食事や噛み締め、顎や舌の筋肉などの様々な力を受けていますが、年を重ねるにつれ、歯や歯茎は弱ってきます。このような環境下では歯並びをいつまでも100%にキープすることは不可能に近いといえます。

いかがでしたか、老齢に至ってからの歯並びを気にするのはムリとしても、明るく前向きに活動するためには、早い段階での矯正治療が有効な手段となっています。