この記事の概要は?
インビザライン矯正中のゴムかけ、効果はあるのでしょうか? 面倒だし、うまくできないなら意味がないのでは?
そんな疑問をお持ちの方も多いはず。実は、ゴムかけは歯並びを美しく整える重要な役割を果たします。
今回の記事では、現役の矯正歯科医の筆者がインビザラインのゴムかけの効果や正しい方法、注意点をわかりやすく解説。きれいな歯並びへの近道、ゴムかけのコツをマスターしましょう。
歯並びの悩みは人それぞれ。芦屋M&S歯科・矯正クリニックでは、6名の専門医が一人ひとりに合わせたオーダーメイドの矯正プランをご提案します。あなたに最適な治療法を一緒に見つけましょう。
こちらにインビザラインでできること・できないことを把握したい方に必要な情報をまとめています。
インビザラインのゴムかけとは
インビザラインのゴムかけとは、自分の歯やマウスピース(アライナー)にゴムをかけて噛み合わせを整える補助的な作業のことです。顎間(がっかん)ゴムやエラスティックゴムとも呼ばれる、医療用のゴムを使用します。
小さな輪ゴム状のもので、ワイヤー矯正と同じく患者さん自身で付け外し可能です。上下のマウスピースの切り込みまたはボタンにゴムを掛けて引っ張ります。
治療前のクリンチェックで、顎間ゴムかけられるようにフックやカットが設置されます。
顎間ゴムをいつから使い始めるかは歯科医が判断します。インビザラインで歯を動かすのに使う補助器具については以下の記事で詳しく説明しています。
顎間ゴムの種類
顎間ゴムには4つの種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。
種類 |
よく使われる症例 |
ゴムをかける位置 |
---|---|---|
Ⅱ級(2級)ゴム |
出っ歯の方(上顎前突症例) 上方のあごや歯を奥の方へと移動し、下のあごや歯を前方へ動かす |
上側の前歯から3本目にある犬歯と、下側の前歯から6本目にある第一大臼歯にかけることが多い |
Ⅲ級(3級)ゴム |
下の歯が前の方に出ている受け口 しゃくれと呼ばれる下あごが上あごよりも出ている症例(反対咬合症例) 下のあごや歯を後ろの方へ動かす |
上側の前歯から6本目の第一大臼歯と、下側の前歯から3本目の犬歯にかけることが多い |
垂直ゴム |
上と下の歯を噛み合わせたときに隙間ができる開口など、上下の歯の咬み合わせの改善 |
上下同じ場所の歯にかける |
交叉ゴム |
通常上の歯が下の歯を覆う歯並びが、途中で何本か下の歯が上の歯を覆ってしまっている交叉咬合(こうさこうごう) |
上と下の同じ位置にある歯の表面と裏側にゴムをクロス状にかける |
顎間ゴムをかけるためのマウスピース側の加工
矯正する歯並びや歯の動かし方により、矯正で使用するマウスピースに以下のどちらの加工をするかを決めます。
ゴムかけ方法 | 加工方法 |
---|---|
プレジジョンカット | インビザラインの辺縁または縁に切り込みを入れ、ゴムをかけます。 |
ボタンカット |
ボタンと呼ばれる丸い突起を歯に接着してゴムをかけます。ボタンと干渉しないようにするために、マウスピース側にボタンカットと呼ばれる半円状の切り込みを入れます。 |
ボタンには金属または樹脂製のものがあり、ゴムの種類や歯の状態、動かしたい歯の向きなどでどちらを使うか決まります。
顎間ゴムには太さや大きさの違う様々なタイプがあり、患者さんの歯並び症状により使い分けられます。
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顎間ゴムの効果は?
顎間ゴムには以下のような効果があります。
- 歯を早く動かす補助をする
- 噛み合わせのズレなくす
- 歯の向きを変える
- 望ましくない歯の移動を予防する
ゴムが縮もうとする引き戻しの力により、マウスピースで歯を動かすよりも早く歯並びを整えてくれます。
歯科矯正では50gから100gほどの力を歯にかけ歯を動かしますが、顎間ゴムを付けると約100gの力が歯にかかるからです。
上下の噛み合わせだけでなく左右にずれた噛み合わせのバランスも整えます。八重歯などの治療で歯の向きを変える際も補助として顎間ゴムを使用します。
マウスピースと顎間ゴムの両方の力により、早く・確実に歯の向きを変えることができるのです。ワイヤー矯正でのゴムかけを快適に長続きさせるためのコツについては以下の記事で説明しています。
歯の移動を防止する役割もある
顎間ゴムには望ましくない歯の移動を予防する役割も持っています。例えば、出っ歯の治療では、抜歯して前歯をそのスペースに移動させる手法がよく用いられます。
しかし、奥歯が前の方に移動して、前歯を収めるべきスペースが狭くなってしまうことがあります。そこで、奥歯の望ましくない移動を予防するために顎間ゴムを補助として使用します。
ゴムかけはいつから行う?
ゴムかけは、治療開始後すぐではなく、ある程度歯の矯正が進んだ治療中盤から後半にかけて行います。一般的には、治療開始から1カ月半〜2、3カ月過ぎとなるでしょう。
もちろん、目指す歯並びが人それぞれ違うため、ゴムかけを行う期間にも差が出てきます。
すべての矯正治療にゴムかけが必要となるわけではありません。
担当の歯科医師が必要と判断する場合、顎間ゴムを付けるよう指示を与えます。
顎間ゴムはずっとつけるの?
顎間ゴムは、マウスピースをつけている間は常に付ける必要があります。マウスピースと同様、1日20時間以上の装着が必要です。
顎間ゴムは基本的に使い捨てです。飲食や歯磨きのためにゴムを外した場合、再装着する際は同じゴムを使用してもかまいません。
しかし、24時間以上に渡って同じゴムを使用することは避けてください。
顎間ゴムを付ける期間は、患者さんの1日の装着時間や矯正する歯並びによって違ってきます。短い場合は数カ月だけ、長い場合は1年以上使用することもあります。
歯並びの悪さが極端に悪かったり、マウスピースだけでは矯正できない場合は顎間ゴムを使う期間も長くなるでしょう。
インビザラインのゴムかけ注意点
インビザラインのゴムかけは、ワイヤー矯正法と同じく患者さんご自身で付け外しを行います。まず、マウスピースの切り込みやゴムを引っ掛けるためのボタンにゴムを引っ掛けます。
次に、ゴムを引っ張りながらもう片方にゴムを掛けます。
ゴムかけをする際の注意点は以下の3つです。
- 最初は鏡を見て正しく付ける
- ゴムは1日1回必ず交換し予備も持っておく
- 必ずマウスピースとセットで付ける
注意点を守らないと治療の期間が延びたり、費用も余計にかかることにつながるので注意しましょう。顎間ゴムの装着時に感じるかもしれない痛みについては以下の記事で詳しく説明しています。
最初は鏡を見て正しく付ける
ゴムかけをする際、最初は鏡を見て装着する位置を確認しながら正しく装着しましょう。
慣れていないうちはゴムの装着は意外と難しく、時間がかかったり正しく付けられないことがあります。
正しく掛かっていないと、歯に力かからず計画通りに動かない原因にもなります。
1〜2週間ほどで装着方法に慣れてくる方が多いので、まずは2週間しっかりと毎日ゴムかけを行うようにしましょう。慣れてくると指の感覚だけでかけられるようになります。
ゴムは1日1回必ず交換し予備も持っておく
顎間ゴムは、1日に1回は必ず交換をしてください。医療用のもので強度があるゴムですが、1日使っただけでも伸びてしまい弾力が弱くなるからです。
常に力がかかるように顎間ゴムを必ず交換するようにしましょう。
ゴムを新しいものへ交換するのを忘れてしまうという方は、飲食や歯磨きのときに新しいものへと交換するようにするのがおすすめです。
また、予備のゴムの持ち運びもお勧めしています。あくびをしたり大声で話したりなど口を大きく開けすぎると、ゴムが緩くなったり切れたりすることもあるからです。
毎日のゴム交換により通院日までにゴムが不足する不安のある方は、歯科医に相談し予備を手に入れることもできます。
必ずマウスピースとセットで付ける
顎間ゴムはマウスピースをつける時に必ずセットで付け、サボらないようにしましょう。セットでつける癖をつければ、ゴムのかけ忘れを防ぐこともできます。
ゴムの強さやかけ方など、歯の状態や実現したい歯並びを想定して歯科医師は計画を立てます。そのため装着時間や期間を守らないと、治療が長引き余分に費用がかかることにもなりかねません。
顎間ゴムは自分で付け外しできるので、マウスピース矯正の場合と同じく患者さんの側の自己管理が必須です。
顎間ゴムは仕上がりにも影響があるので、毎日必ずマウスピースとセットで付けることを心がけましょう。
ゴムが目立って嫌な場合は一時的に取り外してよい
接客が多いお仕事やオフィスでの大切なプレゼンなど、治療中にゴムの装着が目立つとどうしても都合の悪いこともあるでしょう。自分で取り外しが簡単にできるのは、顎間ゴムの大きなメリットです。
どうしても不都合なときは取り外して、すぐに再装着(新しいゴムに交換)をすれば問題ありません。
担当の歯科医に相談すると、ゴムの種類の変更や装着時間を夜だけに短縮するなど、より目立たないように対策できるかもしれません。
例えば、ノンラテックスゴムを使用した、より目立ちにくく透明に近い顎間ゴムもあります。
ただし、ゴムの種類によっては弾性能力や強度が弱くなり、通常のゴムより頻繁な交換が必要になるかもしれません。気軽に担当医に相談してみてください。
ゴムかけが難しい場合の3つの対策方法は?
ボタンの位置が奥歯にあり指が届かなかったり、切り込みにうまくゴムがかからなかったりなど、ゴムかけが難しい場合もあります。
その場合の対処法は以下です。
- エラスティックホルダーを使用する
- 爪を短くする
- マウスピースの切り込みを加工する(裏技的手法)
ぜひ参考にしてください。
エラスティックホルダーを使用する
ゴムかけが難しい場合には、エラスティックホルダーと呼ばれる器具を使用することをお勧めします。
エラスティックホルダーにはフックが付いているので、手が入りにくい場所にゴムをかけるときに役立ちます。
爪を短くする
手の爪が長い方やジェルネイルやつけ爪を着けている方は、ゴムをかけにくい場合があります。爪が口内の粘膜に当たって傷をつけてしまうこともあるかもしれません。
エラスティックホルダーの使い方にもどうしても慣れない場合は、爪を短くする方がよいでしょう。
マウスピースの切り込みを加工する(裏技的手法)
どうしてもマウスピースの切り込みにゴムがかかりにくい場合は、以下の方法でゴムがかかりやすくなるかもしれません。
- 切り込みの部分を少しだけ頬の方へ曲げる
- 爪切りを使いさらに切り込みを深くする
ただし、切り込み部分を外側(頬側)に曲げすぎると、曲げられた先端が頬に当たり痛みやけがの原因となることがあります。
外側へ切り込み部分を出す際には、「少しだけ」しかも優しく曲げるようにしましょう。
ゴムの引っ掛かりを良くするために、爪切りを使いマウスピースの切り込みを少し深くすることもできます。
ご自宅にある爪切りを良く洗い消毒してから使用してください。
マウスピースの切り込みを確認してから、爪切り刃の4分の1ほどを使い切り込みを入れます。
その際、必ずマウスピースの切り込みと同じ向きで平行になるようカットしてください。
もう使わない2つ以上前のマウスピースで練習してみるといいかもしれません。
まとめ:セカンドオピニオンを検討なら芦屋M&S歯科・矯正クリニックへ
歯並びを綺麗に仕上げる上でゴムかけはとても大切な役割を持ちます。でもかけ方が難しいと感じる方も多いのではないでしょうか?
慣れないうちは装着が難しいかもしれませんが、鏡をみながら練習をするとすぐにコツがわかるようになります。多くの方が勘違いされている点ですが、マウスピース矯正は常に計画通り進行していく治療ではありません。
矯正期間中は、多くの患者様が予測もしなかった事態やトラブルが発生することがあるからです。
「治療を始めたけれどその歯科に不安がある」とか「問題が解決しない」場合はどうしたらいいのでしょうか?
治療に関して不安があるときには、セカンドオピニオンや転院も検討しましょう。芦屋M&S歯科・矯正クリニックは、各分野のエキスパート歯科医がそろった大型総合歯科です。
インビザライン矯正においても、最新年間症例数の多い歯科にのみ与えられるプラチナ認定を持っています。
歯列矯正をご検討の方は、芦屋M&S歯科・矯正クリニックへ気軽にご相談ください。
よくある質問
インビザラインのゴムかけはいつから始めるの?
ゴムかけは通常、治療開始から1カ月半〜2、3カ月経過した中盤から後半に開始します。ただし、個々の症例により異なるため、担当医の指示に従いましょう。
ゴムかけは痛いの?
最初は違和感や軽い痛みを感じることがありますが、数日で慣れてきます。強い痛みが続く場合は担当医に相談しましょう。
ゴムかけの時間は?
マウスピースと同様、1日20時間以上の装着が推奨されます。食事や歯磨き以外は常につけておくのがベストです。
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