この記事の概要は?
過蓋咬合(ディープバイト)は、歯並びや口元の見た目が気になるだけでなく、口の中の機能低下や、頭痛・肩こりなどの全身への影響も引き起こす可能性があります。しかし、歯科矯正治療の選択肢や効果について十分な情報がなく、治療をためらってしまう方も少なくないのではないでしょうか。
実は、過蓋咬合は単なる歯並びの問題ではなく、放置すれば全身の不調につながる可能性もある、重要な咬合の問題なのです。
本記事では、歯科矯正専門医の立場から、過蓋咬合の正しい知識と最新の治療方法について詳しく解説します。過蓋咬合の症状や悩みを抱えている方はもちろん、自分の噛み合わせに違和感がある方にも、ぜひ参考にしていただければと思います。適切な診断と治療計画に基づいた矯正治療で、機能的にも審美的にも満足のいく結果が得られるはずです。
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過蓋咬合とは?
過蓋咬合(ディープバイト)は、上下の前歯の重なり合いが大きすぎる不正咬合の一種です。具体的には、上の前歯が下の前歯を被覆する量(オーバーバイト)が、通常の1/3程度を大きく上回る場合を過蓋咬合と診断します。
一見すると単なる歯並びの問題と思われがちですが、実は口腔内の機能や見た目に大きな影響を与える重要な咬合の問題なのです。過蓋咬合の特徴は、以下が挙げられます。
- 前歯で食べ物を噛み切りにくい
- 口元が出っ歯に見える
- 口呼吸になりやすい
上下の前歯が強く接触することで、歯の摩耗や歯周組織への負担が増加し、長期的には顎関節症などの問題につながる可能性もあります。
過蓋咬合の分類(軽度、中等度、重度)
過蓋咬合は、オーバーバイトの程度によって、軽度、中等度、重度に分類されます。
- 軽度:オーバーバイトが50%程度
- 中等度:オーバーバイトが75%程度
- 重度:オーバーバイトが100%近く
重度の過蓋咬合では、下の前歯が上あごの歯茎に接触することもあり、前歯への負担がさらに大きくなります。また、オーバーバイトが大きいほど、顎の成長や機能への影響も大きくなる傾向があります。
過蓋咬合の診断方法
過蓋咬合の診断には、視診、模型分析、レントゲン分析など、多角的なアプローチが必要です。
視診
視診では、上下の前歯の被覆状態や口元の突出感、口唇の閉鎖状態などを確認します。また、歯の摩耗や歯肉の退縮なども重要なチェックポイントです。
模型分析
歯列模型を用いた分析では、上下の歯列の位置関係や咬合状態を詳細に評価します。過蓋咬合では、上顎前歯の唇側傾斜や下顎前歯の舌側傾斜が見られることが多いため、歯列弓の形態にも注目が必要です。
レントゲン分析
レントゲン分析では、側面頭部X線規格写真を用いて、上下顎骨の位置関係や前歯の歯軸傾斜角度を計測します。これにより、過蓋咬合の背景にある骨格的な問題の有無や、適切な矯正治療方針の決定に役立てることができるのです。
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過蓋咬合の原因は?
過蓋咬合の原因は、単一の要因だけでなく、遺伝的要因や環境的要因など、複数の要因が複雑に絡み合っていることが多いのです。長年の臨床経験から、私は過蓋咬合の原因を突き止めることが、効果的な治療につながると確信しています。
遺伝的要因
両親やご家族に過蓋咬合の方がいらっしゃる場合、お子さんも過蓋咬合を発症するリスクが高くなります。これは、顎顔面の骨格的な特徴や歯の大きさ・形態など、咬合に関連する形質が遺伝的に受け継がれるためです。
ただし、遺伝的な要因があっても、必ずしも過蓋咬合になるとは限りません。環境的な要因とのバランスで、過蓋咬合の発症や程度が決まってくるのです。
食生活、生活習慣
過蓋咬合の発症には、食生活や生活習慣など、環境的な要因も大きく関与しています。
- 幼少期の離乳食の与え方
- 食事内容
- 指しゃぶりや爪噛みなどの悪習癖
固い食べ物を十分に噛まないと、顎の成長が促進されず、上下の歯列のバランスが崩れやすくなります。また、悪習癖が長期間続くと、上顎前歯が唇側に傾斜し、オーバーバイトが大きくなってしまうことがあるのです。
口呼吸
アレルギー性鼻炎や肥大した咽頭扁桃など、何らかの原因で鼻呼吸が困難になると、口呼吸を余儀なくされます。口呼吸が続くと、舌の位置が下がり、上顎が狭くなる傾向があります。同時に、下顎が後退し、上下の前歯の被蓋が深くなることで、過蓋咬合が発症・進行するのです。
虫歯、歯の欠損
虫歯や歯の欠損も、過蓋咬合の原因になることがあります。特に、乳歯列期や混合歯列期に虫歯で歯を失うと、残りの歯が傾斜や移動を起こし、咬合が乱れやすくなります。また、永久歯の萌出スペースが失われることで、永久歯の歯列不正を招き、過蓋咬合につながることもあるのです。
過蓋咬合を放置した場合の影響は?
過蓋咬合は、単なる歯並びの問題ではありません。放置すると、口腔内のさまざまなトラブルを引き起こすだけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があるのです。
虫歯、歯周病
過蓋咬合では、上下の前歯が過度に重なり合うことで、歯の隙間が狭くなり、歯ブラシが届きにくくなります。このため、歯垢や食べかすが溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まるのです。
また、過蓋咬合によって前歯に強い力がかかると、歯ぐきが下がって歯根が露出し、知覚過敏や歯周病が進行しやすくなります。歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶けて歯が抜け落ちる可能性もあるのです。
顎関節症
過蓋咬合では、上下の前歯が強く接触することで、顎関節に過度な負担がかかります。長期間にわたってこの状態が続くと、顎関節の軟骨が磨耗したり、関節円板が変形したりして、顎関節症を発症するリスクが高まるのです。
顎関節症は、顎の痛みやクリック音、開口障害など、日常生活に大きな支障を来す疾患です。早期に過蓋咬合を改善することで、顎関節症の予防につなげることができます。
噛み合わせによる頭痛や肩こり
過蓋咬合によって、噛み合わせが不安定になると、無意識のうちに歯ぎしりやくいしばりをしてしまうことがあります。これらの習慣は、頭痛や肩こりの原因になることが知られています。
歯ぎしりやくいしばりが続くと、歯や顎関節への負担が増大するだけでなく、頭部や首肩のこりや痛みを引き起こします。過蓋咬合を改善することで、これらの不定愁訴の改善が期待できるのです。
全身の健康への影響(姿勢、消化)
過蓋咬合は、姿勢や消化機能にも影響を及ぼす可能性があります。過蓋咬合によって下顎が後退すると、頭部が前に出る姿勢になりやすくなります。この不良姿勢は、首や肩のこりだけでなく、腰痛やO脚など、全身の骨格のゆがみにつながることがあるのです。
また、過蓋咬合では噛み合わせが不安定なため、食べ物を十分に噛み砕くことができません。その結果、消化不良や胃腸障害を招く可能性もあります。
過蓋咬合の矯正治療方法は?
過蓋咬合の矯正治療には、いくつかの選択肢があります。患者さんの年齢や過蓋咬合の程度、顎の成長状態などを総合的に評価した上で、最適な治療方法を選択することが重要です。
過蓋咬合の矯正治療では、これらの治療法を組み合わせることも少なくありません。例えば、ワイヤー矯正で歯列を整えた後、インビザラインで仕上げの調整を行うといった具合です。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、ブラケットとワイヤーを用いて歯を動かす従来型の矯正治療法です。過蓋咬合の治療では、上顎前歯の唇側傾斜を改善し、下顎前歯を適切な位置に誘導することが主な目的となります。
ワイヤー矯正の利点は、確実に歯を動かせること、比較的短期間で治療が完了することなどが挙げられます。一方で、装置が目立ちやすいこと、口腔衛生管理に注意が必要なことなどがデメリットとなります。
インビザライン
インビザラインは、透明なプラスチック製のマウスピース型装置を用いた矯正治療法です。過蓋咬合の治療では、上下の前歯の位置を段階的に調整し、オーバーバイトを改善していきます。
インビザラインの最大の利点は、装置が目立ちにくいことです。また、取り外しが可能なため、食事や歯磨きの際に装置を外せるのも魅力の一つです。ただし、装置の着用時間が治療結果に大きく影響するため、患者側の協力が不可欠となります。
外科的矯正手術
外科的矯正手術は、重度の過蓋咬合や骨格的な問題を伴う症例に対して選択されることが多い治療法です。上下顎骨を外科的に移動させることで、理想的な咬合と調和のとれた顔貌を獲得することができます。
外科的矯正手術の利点は、短期間で大きな改善が得られることです。また、顎骨の位置を根本的に改善できるため、長期的な安定性も期待できます。一方で、手術に伴うリスクや回復期間の長さなどがデメリットとして挙げられます。
矯正治療によって過蓋咬合はどの程度改善できる?
過蓋咬合の矯正治療の効果と限界、そしてリスクについて詳しく解説していきます。
矯正治療の効果
過蓋咬合に対する矯正治療の主な目的は、上下の前歯の重なり合いを改善し、適切な咬合関係を確立することです。具体的には、以下のような効果が期待できます。
- 上顎前歯の唇側傾斜の改善
- 下顎前歯の圧下(前歯が下がること)
- オーバーバイトの減少
- 口元の突出感の改善
- 咀嚼機能の向上
- 顎関節や歯周組織への負担の軽減
多くの症例で、これらの改善が得られることで、機能的にも審美的にも良好な結果が得られます。
治療後の維持とケアの重要性
過蓋咬合の矯正治療で得られた良好な結果を維持するためには、治療後のケアが非常に重要です。
矯正装置を取り外した後は、歯が元の位置に戻ろうとする力が働きます。この後戻りを防ぐために、保定装置(リテーナー)を使用します。保定装置は、治療後の歯の位置を維持するために欠かせません。
過蓋咬合矯正治療に保険は適用される?
2022年4月より、過蓋咬合を含む歯列不正の矯正治療に対して保険適用が拡大されました。これによって、先天性の障害など一定の条件を満たす過蓋咬合の症例に限っては、保険診療での矯正治療が可能になりました。
ただし、保険適用の条件は、過蓋咬合の程度や顎の成長状態などによって異なります。保険が適用される場合、自己負担額は大幅に軽減されるため、矯正治療がより身近なものになったと言えます。
まとめ
過蓋咬合は、見た目の問題だけでなく、口腔内の機能や全身の健康にも影響を及ぼす可能性がある重要な不正咬合です。本記事では、過蓋咬合の定義や分類、原因、診断方法、そして矯正治療の選択肢とその効果について詳しく解説しました。
もし、自分の噛み合わせに違和感がある場合は、早めに歯科医院で相談することをおすすめします。過蓋咬合の治療は、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、適切な方法を選択することが大切です。
過蓋咬合でお悩みの方も、ぜひ前向きに治療に取り組んでいただければと思います。歯科医として、皆さんの健康で美しい笑顔を引き出すお手伝いができれば幸いです。
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よくある質問
過蓋咬合の治療に保険は適用されますか?
2022年4月より、一定の条件を満たす過蓋咬合の矯正治療に対して保険適用が拡大されました。保険適用の条件は、過蓋咬合の程度や顎の成長状態などによって異なります。
保険が適用される場合、自己負担額は大幅に軽減されるため、矯正治療がより身近なものになったと言えます。詳しくは、かかりつけの歯科医や歯科矯正専門医にご相談ください。
過蓋咬合の治療後、後戻りを防ぐにはどうしたら良いですか?
過蓋咬合の治療後に後戻りを防ぐためには、以下のようなポイントが重要です。
- リテーナー(保定装置)の継続的な使用
- 定期的な歯科検診とクリーニング
- 良好な口腔衛生習慣の維持
特にリテーナーは、治療後の歯の位置を維持するために欠かせません。歯科医の指示に従って、きちんと装着することが大切です。また、歯垢や歯石を定期的に除去し、虫歯や歯周病を予防することで、せっかく改善した噛み合わせを長期的に維持することができます。治療後のケアを怠らないことが、美しい歯並びを保つ秘訣と言えるでしょう。
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