この記事の概要は?
インビザライン矯正を始めて、食事中やマウスピース(アライナー)を外す時に、歯につけた白い突起、アタッチメントが「ポロッ」と取れてしまったら…
「治療計画が遅れるのでは?」「追加で費用がかかるの?」「もしかして、自分の使い方が悪かったのだろうか?」など疑問や不安が押し寄せてくることでしょう。
ご安心ください。インビザライン治療において、アタッチメントが外れてしまうことは、決して珍しいことではありません。多くの場合、慌てず適切に対処すれば、治療に大きな影響が出ることはありません。
この記事では、インビザライン治療を得意とする芦屋M&S歯科・矯正クリニックが、アタッチメントが取れてしまった際の緊急対処法から、なぜ取れやすいのかという根本的な原因、そして日々の生活でできる予防策、さらには気になる再装着の費用まで、あなたの不安を解消するために必要な情報を徹底的に解説します。
こちらにインビザラインでできること・できないことを把握したい方に必要な情報をまとめています。
【緊急】インビザラインのアタッチメントが取れた!まずやるべき3つのこと
インビザラインのアタッチメントが取れてしまった時、パニックにならず冷静に行動することが何よりも大切です。まずは以下の3つのステップを順番に実行してください。
落ち着いて、まずは状況を確認
まず、深呼吸をして落ち着きましょう。アタッチメントが外れることは、治療中には起こりうることです。
多くの場合、緊急性は高くありません。
最初に、取れた箇所に痛みや、欠けた部分が尖っていて粘膜に当たるなどの違和感がないかを確認してください。もし強い痛みがある場合は、別の問題の可能性も考えられるため、すぐに歯科医院へ連絡しましょう。
万が一飲み込んでしまっても、アタッチメントは身体に害のない歯科用樹脂でできています。自然に排出されますので心配はいりません。
マウスピース(アライナー)の装着を試す
次に、現在使用しているマウスピースが、アタッチメントが取れた状態で問題なくフィットするかを優しく試してみてください。これは、今後の対応を決めるための重要な確認作業です。
問題なくフィットする場合
これが最も一般的なケースです。マウスピースがしっかりとはまるなら、歯が計画からずれてしまうのを防ぐため、これまで通り1日20~22時間の装着を続けてください。
フィットしない、または浮いてしまう場合
速やかに歯科医院に連絡して指示を仰ぎましょう。自己判断で装着を中止してしまうと、治療計画に遅れが生じる可能性があります。
かかりつけの歯科医院に連絡する
もしすべてのアタッチメントが外れてしまった、またはマウスピースを装着できなくなった場合は、かかりつけの歯科医院に連絡をしてください。
電話で連絡する際は、以下の情報を正確に伝えると、その後の対応が非常にスムーズになります。
歯科医に伝えるポイント | 具体的な伝え方 |
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何枚目のマウスピースを使用しているか | マウスピースの袋や本体に番号が記載されています |
どの歯のアタッチメントが取れたか | 上の右側、奥から3番目」のように具体的に伝えましょう |
痛みや違和感の有無 | 口内を傷つけるような鋭利な部分がないかなどを伝えます |
マウスピースのフィット感 | マウスピースが問題なくはまるかどうかを伝えます |
これらの情報を伝えることで、歯科医院側は緊急性を判断し、「次回の予約日に確認します」あるいは「早めに一度見せに来てください」といった的確な指示を出すことができます。
定期通院の頻度をきっちりキープできているのであれば、すべてのアタッチメントが長期にわたって外れているのでない限り、おおむね予定通り治療は進みます。次の通院時に歯科医に知らせて着け直してもらえば大丈夫です。
関西随一の実力派プラチナ認定医芦屋M&S歯科・矯正クリニックに歯並び矯正をお気軽にご相談ください。
なぜ?インビザラインのアタッチメントがすぐ取れる6つの原因
アタッチメントが外れるのには、必ず理由があります。その根本的な原因を掘り下げて解説します。
マウスピースの着脱方法と習慣
最も多い原因の一つが、毎日のマウスピースの着脱方法にあります。特に外す際に前歯から無理に引っ張ったり、片側だけに力を集中させたりすると、アタッチメントに力がかかり、接着面がきっかけになります。
正しい外し方は、以下3原則が基本です。
- 奥歯の内側から
- 左右均等に
- ゆっくりと
両方の奥歯の内側に指の腹をかけ、少しずつ浮かせてから、全体を前方へ持ち上げるように外します。
爪を立てると歯肉を傷つける可能性があるため、専用の「アライナーリムーバー」を使用するのも非常に有効です。
また、無意識に舌や指でアタッチメントを触る癖がある場合、そのわずかな力も長期間にわたって繰り返されることで接着剤の劣化を早め、外れる原因となることがあります。
食事の内容と噛み合わせの力
食事の際はマウスピースを外しますが、その時に食べるものや噛み合わせの状態もアタッチメントの寿命に大きく影響します。
フランスパンやおせんべい、ナッツ、氷といった硬い食べ物を強い力で噛んだ際の衝撃や、キャラメルやガム、お餅などの粘着性が高い食べ物がアタッチメントに付着し、剥がすような力が加わることが直接的な原因です。
さらに、臨床的に重要なのが「噛み合わせの深さ(過蓋咬合)」です。噛み合わせが深いと、食事のたびに下の歯が上の歯の裏側にあるアタッチメントに、あるいは上の歯が下の歯の表側にあるアタッチメントに直接当たってしまうことがあります。
これは、特定の箇所に繰り返し衝撃が加わることで、接着剤が疲労して破壊される典型的なパターンです。
被せ物(クラウン)や大きな詰め物がある歯
アタッチメントは、歯の表面にあるエナメル質に最も強力に接着するように設計されています。そのため、歯の状態によっては接着力が弱まることがあります。
セラミックや金属、レジン(歯科用プラスチック)などの人工物は、天然の歯とは表面の性質が全く異なります。これらの滑沢な表面には、アタッチメントの接着剤が微細な凹凸に入り込んで固定される「機械的嵌合」という効果が得られにくく、どうしても接着強度が劣ります。
口腔内の清掃不良
歯の表面にプラーク(歯垢)が残っていると、接着剤が歯に直接触れる面積が減り、本来の接着力を発揮できません。アタッチメントの周囲は特に汚れが溜まりやすいため、日々のケアが接着の維持にも直結します。
アタッチメント自体の設計と役割
アタッチメントは、マウスピースが歯をしっかりと掴むための「取っ手」のような役割を果たします。
例えば、歯を回転させたり、歯を引っ張り出したり(挺出)、歯の根の向きをコントロールしたりといった三次元的な動きには特定の形のアタッチメントが不可欠です。動きの要となる重要なアタッチメントほど、強い力がかかるように設計されているため、他のものより外れるリスクがやや高まる場合もあります。
治療の進行に伴う口内環境の変化
インビザライン治療は、歯を動かして歯並びを改善していく動的なプロセスです。そのため、治療の進行自体がアタッチメントが外れる原因になることもあります。
例えば、治療開始時には問題なかったアタッチメントが、歯が動いてきたことによって、これまで当たらなかった反対側の歯と噛み合うようになることがあります。これは治療が順調に進んでいる証拠とも言えますが、結果としてアタッチメントが物理的に破損する原因となります。
このような変化を予測し、定期的なチェックで噛み合わせの調整を行ったり、必要に応じてアタッチメントの形状を修正したりすることが、歯科医師の重要な役割です。
アタッチメントが取れるのを防ぐ!今日からできる4つの習慣
アタッチメントが外れる原因の多くは、日々の少しの工夫でリスクを減らすことができます。治療をスムーズに進めるために、今日からできる4つの習慣を身につけましょう。
正しいマウスピースの着脱をマスターする
誤った着脱はアタッチメントが外れる最大の原因です。改めて正しい方法を確認し、習慣化しましょう。
マウスピースを着けるときは、前歯から位置を合わせ、左右の奥歯に向かって指の腹で均等に押し込みます。カチッと音がするまでしっかりはめます。
外すときは、両方の奥歯の内側に指の腹(またはアライナーリムーバーのフック)をかけ、均等に力を加えて少しずつ浮かせます。片側が浮いたら、もう片方も同様に浮かせ、最後に前歯部分をそっと持ち上げます。
この一連の動作を、鏡を見ながらゆっくりと練習することをお勧めします。一度身につけば、無意識にできるようになります。
食事の選び方と「食べ方」を工夫する
アタッチメントに過度な負担をかけないためには、何を食べるかだけでなく、「どう食べるか」も重要です。
硬い食べ物や粘着性の高い食べ物は、できるだけ避けるのが賢明です。しかし、どうしても食べたい時は、食べ方を工夫しましょう。
例えば、リンゴや硬いパンは丸かじりせず、小さく切ってから奥歯で噛む、骨付き肉はかぶりつかずにナイフで肉を骨から外す、といった工夫でアタッチメントへの直接的な衝撃を大幅に減らすことができます。
また、歯を道具として使う(袋を開けるなど)行為は絶対にやめましょう。
アタッチメント周りの丁寧な口腔ケア
アタッチメントの表面や根元の周りは、プラークが非常にたまりやすい場所です。プラークが残っていると、接着剤の劣化を早めるだけでなく虫歯や歯肉炎の原因にもなります。
歯ブラシは、毛先の柔らかいものを使い、アタッチメントの周りを様々な角度から優しく磨くことを意識してください。歯ブラシだけでは届きにくいアタッチメントの側面や根元は、タフトブラシ(毛先が一つにまとまった小さなブラシ)や歯間ブラシを使うと効果的です。
デンタルフロスやウォーターフロッサーの併用も、口腔内全体の清潔を保つために強く推奨されます。
研磨剤が多く含まれる歯磨き粉は、アタッチメントの表面を摩耗させる可能性があります。そのため、低研磨タイプやジェルタイプの歯磨剤を選ぶと良いでしょう。
「チューイー」を正しく活用する
「チューイー」は、マウスピースを歯にしっかりとフィットさせるためのシリコン製の補助道具です。マウスピースを装着した後、チューイーを数秒間、前歯から奥歯までまんべんなく噛むことでマウスピースが歯とアタッチメントに隙間なく密着します。
マウスピースがわずかでも浮いていると、歯を動かすための力が正しく伝わらないだけでなく、着脱時にアタッチメントに不均一な力がかかり、外れる原因にもなります。チューイーを正しく使うことは、治療効果を高めると同時にアタッチメントを保護することにも繋がる非常に重要な習慣です。
外れたアタッチメントを長期放置した場合のリスク
アタッチメントが取れたまま、長期で治療を続けると、いくつかの好ましくない事態を引き起こす可能性があります。
治療計画のズレと期間の延長
アタッチメントは、特定の歯を計画通りに動かすための重要な装置です。特に、歯の回転や挺出といった複雑な動きを担うアタッチメントが長期間ない状態だと、その歯だけが計画から取り残されてしまいます。
その結果、マウスピースが徐々にフィットしなくなり、治療計画の修正(リファインメント)が必要になることがあります。これは、治療期間が数ヶ月単位で延長する原因となります。
ただし、すべてのアタッチメントが長期に渡って外れているのでない限り、おおむね予定通り治療は進みます。
痛みの原因や口内炎
アタッチメントが欠けて鋭利な部分ができてしまうと、マウスピースを外している時に舌や頬の粘膜を傷つけ、口内炎の原因になることがあります。
アタッチメントの再装着費用は?
アタッチメントの再装着に費用がかかるかどうかは、受診している歯科医院の料金体系によって大きく異なります。主に2つのシステムがあります。
トータルフィー制(総額提示制)
治療開始から終了(保定期間を含むことが多い)までにかかる全ての費用を、最初に一括で提示する方式です。この場合、治療中にアタッチメントが外れた際の再装着費用や、計画の修正に伴う調整料などは総額に含まれており、追加費用が発生することはほとんどありません。
患者さんにとっては、費用の見通しが立てやすく安心感が高いのが特徴です。
都度払い制
最初に支払う基本料金は比較的安価で、通院ごとの診察料や調整料、処置料などをその都度支払っていく方式です。この場合、アタッチメントの再装着は「追加の処置」と見なされ、1回あたり数千円程度の費用が別途発生することがあります。
治療がスムーズに進めば総額を抑えられる可能性がありますが、トラブルが重なると費用がかさむリスクがあります。
ご自身の契約がどちらのタイプか不明な場合は、治療開始時の契約書を確認するか、直接クリニックに問い合わせてみましょう。
まとめ
インビザラインのアタッチメントが取れてしまうと、一瞬不安になるのは当然のことです。しかし、この記事で解説したように、その原因と対処法を知っていれば、決して慌てる必要はありません。
アタッチメントが取れたら、まずは状況を確認し、マウスピースのフィットを試しましょう。すべてのアタッチメントが長期に渡って外れているのでない限り、おおむね予定通り治療は進みます。
アタッチメントが外れるのは、治療過程における予測可能な生体力学的な課題であることがほとんどです。
もし、あなたがこれからインビザライン治療を始めようとしていて、このような専門的な視点からしっかりとサポートしてくれるクリニックをお探しでしたら、ぜひ一度、芦屋M&S歯科・矯正クリニックのカウンセリングにお越しください。
あなたの歯並びの状態を正確に診断し、ご不安な点を一つひとつ解消しながら、自信を持ってスタートできる治療計画を一緒に考えていきましょう。
よくある質問
インビザラインのアタッチメントが取れたら、すぐに歯医者に行くべきですか?
必ずしも、その日のうちに駆け込む必要はありません。まずは落ち着いて歯科医院に電話で連絡し、状況(何枚目のマウスピースか、どの歯か、痛みはあるか等)を伝えて指示を仰いでください。
多くの場合、次回の予約日に再装着するか、もし予約日まで期間が空いている場合は、少し早めの来院を指示されることがあります。マウスピースが問題なくフィットしていれば、治療の遅れを最小限に抑えるため、指示があるまで装着を続けるのが一般的です。
アタッチメントの再装着にかかる費用は、平均でいくらくらいですか?
費用は歯科医院の料金体系によって大きく異なり、「平均」を出すのは困難です。大きく分けて2パターンあります。
- ①「トータルフィー制(総額制)」のクリニックでは、治療中のトラブル対応費として含まれていることが多く、追加費用は0円の場合がほとんどです。
- ②「都度払い制」のクリニックでは、再装着は追加処置とみなされ、1箇所につき3,000円~5,500円程度の費用がかかることがあります。
ご自身の契約内容を確認することが最も確実です。
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