この記事の概要は?
矯正で歯を動かすのって痛そう
インビザラインとワイヤーは歯を動かす仕組みはどう違うの?
インビザラインはどんな器具を使って歯を動かすの?
実は、ワイヤー矯正であろうとインビザラインなどのマウスピース矯正であろうと歯を動かす仕組みは変わりません。
矯正を考えて弊院に受診される多くの方が、そのことを初めて知って驚かれます。
インビザラインは全く歯を動かす仕組みも違う、だからこそ不安、となんとなく感じている方も多いようです。
基本的な仕組みが同じだからこそ、インビザラインでも矯正時の痛みの度合いや矯正効果をコントロールできるのです。
そこで、この記事では以下の点について分かりやすく説明します。
- インビザラインで歯が動く仕組み
- インビザラインで歯を動かすのに使う補助器具
- インビザライン矯正の流れ
インビザライン矯正で歯並びを治す仕組みが分かれば、不安なく矯正に臨めます。
インビザライン矯正の流れ、費用については以下の記事をご覧ください。
歯列矯正で歯が動く仕組み
歯を動かす基本的な仕組みはワイヤー矯正であろうと、マウスピース矯正であろうと変わりません。
インビザライン矯正で歯を2カ月で平均1㎜前後移動できます。
歯は、上記画像のように歯槽骨という顎の骨で支えられています。
そして、歯と歯槽骨の間にある一層の膜が「歯根膜」です。
この歯根膜が歯列矯正で重要な働きをします。
歯にある一定の力が継続的にかかると、歯が片側に引っ張られ、逆側では押されるようになります。
すると、歯根膜で引っ張られる部分と押される部分で以下の反応が同時に進行します。
引っ張られる側 | 押される側 |
---|---|
1.歯根膜が引っ張られ徐々に拡張する | 1.歯根膜が圧迫され、局所的な血流障害が生じる |
2.歯根膜部分の血流が亢進する | 2.押された部分で充血帯(血だまり)ができる |
3.充血帯に破骨細胞(古い骨を吸収して骨の代謝を促進する細胞)が集まる | |
4.押された部分の骨が吸収されていく | |
新しい骨や歯根膜が形成される | |
|
歯に継続的な力をかけることで、歯根膜の再形成、再配列を繰り返して歯が移動していくのです。
歯を動かす基本的な仕組みはワイヤー矯正であろうと、マウスピース矯正であろうと変わりません。
インビザライン矯正で歯を移動できる量は、2カ月で平均1㎜前後です。
インビザラインで変化を実感でき始めるタイミングについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
恐ろしい歯根吸収とは?
歯根膜の再形成のペースに合わせて矯正を進めないと、歯根吸収を起こしたり、歯槽骨にダメージを与えたりすることがあります。
歯根吸収は、歯を動かすことで歯の根元の形が変化したり、長さが短くなったりすることです。
重症になると、矯正後に歯がグラグラになったり、歯周病が進行して歯が抜けてしまうリスクが上昇します。
インビザラインはワイヤー矯正と力のかけ方が違う
インビザラインと従来のワイヤー矯正の歯を動かす仕組みは同じですが、力のかけ方が異なります。
従来のワイヤー矯正では、曲げたワイヤーが戻ろうとする大きな反発力を使って歯に力をかけます。
最初に大きな矯正力をかけて一気に歯を動かし、各段階でワイヤーの締め具合を調整していきます。
インビザライン矯正では、理想の歯列に少しずつ近づけていくマウスピースを数十個作り、約10日〜2週間程度で次のマウスピースに交換します。
現状から少しずつ動かすためのマウスピースですから、ワイヤーの反発力ほど大きな矯正力はありません。
インビザラインは歯を一気に動かすのではなく、平均的な矯正力を常にかけて歯を動かしていくシステムです。
- どちらにも対応できるスキルの高い矯正歯科を選ぶのが、歯列矯正を成功させる秘訣でしょう。
インビザラインとワイヤー矯正の費用や仕上がりの比較など、詳しくはこちらをご覧ください。
インビザラインのメリット
ワイヤー矯正と比較して弱い矯正力を継続的にかけていくインビザラインの方法には、以下のメリットがあります。
- 歯の移動量を調整しやすい
- 弱い矯正力なので痛みが少ない
- 歯根吸収のリスクがほとんどない
- 顔や輪郭が急激に変わりにくい
従来のワイヤー矯正で起こりがちだった歯根吸収のリスクは、インビザラインでは低くなります。
と言っても、インビザラインにおいても、他の歯列矯正と同様に歯根吸収のリスクが0になるわけではありません。
また、重度に悪い歯並びなど、初めに強い力をかけなければ矯正が難しい歯並びも存在します。
逆に、インビザラインに向いていない人を以下の記事で説明しています。
インビザラインだけで矯正できない場合には、ワイヤー矯正との併用も可能な場合がほとんどです。
インビザラインはゆっくり力をかけるので、予想しなかった顔立ちの変化が起こりにくくなります。
歯列矯正で顔や輪郭が変わる危険性と対応策についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
関西随一の実力派プラチナ認定医芦屋M&S歯科・矯正クリニックに歯並び矯正をお気軽にご相談ください。
インビザラインで歯を動かすのに使う補助器具
インビザラインでは、マウスピース(アライナーとも呼ばれます)だけでなく、以下のような補助器具を用いて効率的に歯を動かします。
必ず使用するわけではありませんが、歯科医の指示に従って使用しましょう。
- アタッチメント
- 顎間ゴム
- チューイー
- リテーナー
それぞれの器具について説明します。
アタッチメント
インビザラインのアタッチメントは、歯を矯正する力を最大限に引き出すために歯の表面に着ける歯と同色の突起物です。
矯正を始める前に、目的に応じたアタッチメントを歯科医が歯の表面に着けてくれます。
アタッチメントは以下のように働いて、理想的な歯列への移動を補助します。
- マウスピースと歯をぴったりくっつける
- マウスピースの矯正する力を歯の根元まで伝える
インビザラインのアタッチメントについて、詳しくはこちらをご覧ください。
顎間ゴム
顎間ゴムは、矯正治療中により大きな力をかけるために上の歯と下の歯にかけるゴムです。
顎間ゴムの弾性力で出っ歯や受け口、左右の横ずれを改善させます。
症状に応じて、以下の種類の顎間ゴムを使い分けます。
Ⅱ級ゴム
主に上顎前突(出っ歯)の症例に使用します。
出っ歯の原因、似た症状の他の症例がわかる記事を以下でまとめています。
Ⅲ級ゴム
主に反対咬合(受け口)の症例に使用します。
クロスゴム
クロスバイトやシザーズバイトといった、歯列が左右にずれている症例に使用します。
垂直ゴム
上顎と下顎の歯が接触していない、開咬(オープンバイト)の症例に使用されます。
歯科医の指示に従って使用しましょう。
チューイー
チューイーは、マウスピースを着けた後に噛む器具です。
ロール状のチューブで、マウスピースと歯を確実に密着させるために使用します。
シリコン製なので、しっかりと噛んでも簡単にちぎれません。
奥歯に使いやすい棒キャンディーのようなタイプや、ミントなどのフレーバーがついたタイプもあります。
インビザラインのチューイーについて、効果や使い方など詳しくはこちらをご覧ください。
リテーナー
リテーナーとは、矯正治療が終わった後、歯並びを安定させるために口内に着ける装置です。
歯は、移動してすぐにしっかりと固定されるわけではありません。
放っておくと、歯を前の位置に戻そうとする力が働きます。
リテーナーを装着して、矯正で移動させた歯を固定し後戻りしないようにします。
リテーナーにはいくつかの種類があり、治療の場所や治療前の症状、患者さんの希望により歯科医が選択します。
インビザラインのリテーナーを着ける期間や費用について、詳しくはこちらをご覧ください。
インビザライン矯正の流れ
インビザラインの矯正治療の流れは以下の通りです。
1. カウンセリング
患者様が不安に思っていることや矯正治療への希望などを詳しくお伺いします。
2. 検査
口腔内のチェックやレントゲン検査などを行い、インビザライン矯正に適正かどうか判断します。
3. クリンチェック(インビザライン治療工程の3Dシミュレーションを行うソフトウェアシステム)
シミュレーションをもとに、矯正後の歯並びなどの具体的な治療計画を説明します。
4. マウスピースの作製
5. 矯正開始
使い方や使用上の注意点などの説明をしますので、安心してマウスピース矯正を始めることができます
6. 定期チェック
治療開始から1〜2カ月に一度来院し、矯正開始後の歯並びをチェックします。
必要に応じてマウスピースの微調整も行います。
インビザラインの治療期間には個人差がありますが、おおよそ1年半から3年程度とお考えください。
インビザラインの治療期間について、詳しくはこちらをご覧ください。
まとめ
インビザラインは、従来のワイヤー矯正と同じ仕組みで歯を動かします。
歯が動く仕組みをきちんと理解すると、むやみに短期間で歯並びを矯正することのリスクも理解できたのではないでしょうか?
インビザラインは、歯にかかる力と痛みをコントロールしながら進められる優れた矯正法です。
しかし、インビザラインでの矯正中は、患者様それぞれの口内環境や理想の歯並び、進行状況に応じて柔軟即時に対応しなければなりません。
また、状況に応じてワイヤー矯正との併用や様々な補助器具を使用する必要があります。
インビザラインは、症例実績が多く、インビザライン以外の矯正法にも対応できるスキルの高い矯正歯科医を選びましょう。
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