この記事の概要は?
「矯正治療を考えているけれど我慢できるレベルの痛みなんだろうか?」このような疑問を持つ方は多いでしょう。歯列矯正は美しい笑顔への道ですが、多くの人が痛みに対する不安を感じています。
矯正器具がかける圧力により、歯を支える骨組織がゆっくりと動きます。新しい位置に適応するための反応としてある程度の痛みが生じるのは避けられません。
そのため、矯正治療というと「痛い」というイメージが強いかもしれませんが、実際の痛みの程度や症状は、治療法や個人の条件によって大きく異なります。
この記事では、矯正治療における痛みの原因、期間について詳しく解説し、マウスピースとワイヤー矯正の違い、痛みを軽減する方法についても触れています。矯正中に避けるべき日常の習慣や、意外と知られていない快適な矯正生活の秘訣について、専門医が解説します。
矯正治療の痛みに関する正確な情報を知ることで、不安を和らげ、治療への一歩を踏み出す勇気が得られるでしょう。
インビザラインを初めてご検討の方に必要な情報をこちらの記事にまとめています。
矯正の痛み、どれくらい覚悟すればいい?
歯列矯正治療では、歯を動かすために一定の圧力をかけるため、痛みが生じることがあります。この痛みは、歯やその周囲の組織が治療に適応し、徐々に変化していく過程で生じる自然な反応です。
痛みの程度は、以下の要因によって個人差があります。
- 歯の移動速度
- 治療方法
- 個々の痛覚の敏感さ
- 口腔内の状態
また、ストレスや緊張が痛みを増幅させることもありますので、リラックスすることが重要です。
痛みが続く期間は?
矯正治療における痛みは、装置の装着直後や調整後に最も強く感じられることが一般的です。通常、この痛みは数日から数週間で徐々に軽減します。
しかし、治療期間全体を通じて痛みが完全になくなるわけではありません。特に、新しいワイヤーやマウスピースに交換した時は、再び痛みを感じることがあります。
これは、歯が動くための必要なプロセスであり、適切なケアと対処法で管理できます。
痛みの種類は?
矯正治療中に感じる痛みには、鈍痛、尖痛、持続痛といった種類があります。
痛みの種類 | 詳細 |
---|---|
鈍痛 | 装置装着後しばらく続く軽い圧迫感 |
尖痛 | 矯正器具が口腔内の特定の部分に圧力を加えることで起こる 短時間で感じる鋭い痛み |
持続痛 | 治療期間を通じて感じる、長引く痛みや不快感 |
上記の痛みは個人差があり、正しいケアと対処で軽減することが可能です。
関西随一の実力派プラチナ認定医芦屋M&S歯科・矯正クリニックに歯並び矯正をお気軽にご相談ください。
歯列矯正で痛みや不快感が生じる仕組みは?
歯列矯正である程度の痛みや不快感が生じてしまう仕組みを説明します。
歯の根元に力がかかっているため
歯列矯正中の痛みは、歯や歯根を取り巻く骨組織が再構築される過程で起こります。矯正器具、特にワイヤーやブラケットは、適切な力を歯に加えることで徐々に歯を動かします。歯は根元から動かす必要があるため、歯の根元に力をかけていきます。
歯列矯正では、歯を動かすために器具を使って歯に圧力をかけているので痛みが出ることがあるのです。
しかし、歯を動かす力が強すぎると、痛みが増加する可能性があります。この力の加わり方によって、痛みの感じ方が異なります。
この痛みは、歯や顎の健康な発達を促す自然な生体反応です。痛みは、体が正常に機能している証拠であり、治療が進んでいる証でもあります。
圧力がかかると歯の根元にある骨が溶けたり新たに作られたりしていき、徐々に歯が動いていくのです。
インビザラインで歯を動かす仕組みについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
器具が当たっているため
口の中や舌に器具が干渉して、痛みが出ることがあります。器具によって口の中が小さく傷ついていたり、器具によって口内炎ができているかもしれません。
ワイヤー矯正では歯の表面に器具を着けるため、器具が口の粘膜に当たることが多く、裏側矯正では歯の裏側に器具を着けるため舌に当たることが多いです。
マウスピース矯正でも、アタッチメントと呼ばれる小さな突起を歯の表面に着けて歯を動かすことがあり、アタッチメントが粘膜に当たって痛みが出ることがあります。
インビザラインのアタッチメントについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
器具が当たっている部分がこすれることによって口内炎ができ、できた場所によっては痛くなることもあり得るのです。
噛み合わせのずれや噛んだ時の力によって
矯正治療を始めると、噛み合わせの微小なズレや噛んだ時の力加減で痛みが出ることがあります。歯が動くと、噛み合わせも少しずつ変わってくるからです。
矯正中は、歯の根元に力が加わると痛みが出やすい状態となっています。噛み合わせがずれている箇所や食事などで強く噛んだ歯の根元には、さらに強い力がかかっている状態となり、痛みが出ることが多いです。
噛み合わせについては、矯正中でも状況に応じて調整が必要なケースがあります。痛みの程度が強い時には、担当の歯科医師に相談をしてみましょう。
歯列矯正が噛み合わせに与える影響についてはこちらの記事をご覧ください。
チューイーで圧迫される(インビザライン)
インビザライン矯正で用いるチューイーはマウスピースを着けた後に噛む器具で、ロール状のチューブでマウスピースと歯を確実に密着させるために使用します。
チューイーに慣れるまでは、歯が押される感覚や圧迫感により痛みを感じることもまれにあるようです。特に、新しいマウスピースと交換したときは痛みが出やすいようです。
チューイーを使用する際は、徐々に力を入れながら噛んでください。ほとんどの場合数日たつと慣れますので、様子を見てください。
無理せずひとつ前のマウスピースに交換することも可能です。歯科医に相談し指示を仰ぎましょう。
矯正中の痛み・不快感を和らげる秘策
歯列矯正中に発生する痛みや不快感に上手に対処する方法について説明します。
鎮痛剤
我慢できないほどの痛みを我慢する必要はありませんし、最近の鎮痛剤は眠気の発生頻度も低く抑えられています。矯正治療に伴う痛みに対して、以下の成分が含まれる市販の鎮痛剤が効果的な場合があります。
- アセトアミノフェン
- イブプロフェン
- ロキソプロフェン
芦屋M&S歯科・矯正クリニックでは、ロキソニン(ロキソプロフェン)をメインで処方しています。
アイスパック
矯正治療に伴う局所的な痛みに対し、アイスパック(保冷氷のう、アイスノンとも呼ばれる)は非常に効果的です。冷却は血管を収縮させ、炎症を軽減し、痛みを和らげます。
アイスパックを痛みのある部分に10~15分程度当てることで、痛みや腫れを軽減できます。ただし、直接肌に触れると低温火傷のリスクがあるため、布で包んで使用することが重要です。
穏やかな運動
穏やかな運動は、全身の血行を良くし、緊張を和らげ、ストレスを減少させることができます。特に、ヨガやストレッチは、痛みに対する感受性を減らす効果があります。
また、適度な運動は睡眠の質を向上させ、痛みと向き合う心身の強さをサポートします。
適切な歯磨き
矯正中は、歯磨きが難しくなりがちですが、正しいブラッシング方法は痛みの軽減にも寄与します。柔らかいブラシを使い、歯や歯肉を傷つけないように注意しながら、歯と歯茎の際を丁寧に磨きます。
また、矯正器具周辺の清掃には特殊なブラシやデンタルフロスを使用することで、痛みや不快感の原因となる食べカスや歯垢の蓄積を防ぎます。
痛みを防止する食事
矯正中は、硬い食べ物や粘着性のある食べ物を避けることが重要です。硬い食品や粘着性のある食品は、矯正器具を破損するリスクがあり、また痛みを増やす原因となることもあります。
具体的には、以下が避けるべき食品として挙げられます。
- ナッツ
- キャラメル
- 硬いキャンディー
- ガム
代わりに、柔らかく、噛む力をそれほど必要としない食品を選びましょう。例えば、以下などがおすすめです。
- スープ
- シチュー
- ヨーグルト
- プリン
これらの食品は、痛みを引き起こしにくく、栄養バランスを保つのにも役立ちます。また、暖かい食品よりも冷たい食品の方が、痛みや腫れを和らげる効果があることもあります。
食事をできないほどの痛みが出ている場合は以下の記事も併せてご覧ください。
リラックスする
心身のリラックスは、治療全体の経験をより快適なものにします。ストレスは痛みの感じ方を強めることがあります。
以下のようなリラクゼーション技法を取り入れることで、ストレスを軽減し、痛みを和らげることができます。
- 深呼吸
- 瞑想
- アロマセラピー
矯正用ワックス
矯正用ワックスとは、矯正器具による口腔内の刺激を軽減するために使用される、柔らかくて非毒性のワックスです。矯正用ワックスは、ブラケットやワイヤーのような器具が唇や頬の内側に擦れるのを防ぎ、潰瘍や傷の発生を減少させます。
矯正歯科で数百円〜1,000円ほどで購入可能です。ちぎるタイプやシリコンから作られているタイプなどさまざまな種類が展開されています。使い方はどのタイプも器具にワックスを上から着けていきます。
芦屋M&S歯科・矯正クリニックでは必要であれば無料でお渡ししていますので、お気軽にご相談ください。
矯正中のストレスコントロール方法
矯正治療中に感じるストレスは、痛みの感じ方に直接的な影響を与えます。ストレスが高まると、身体はより痛みに敏感になり、痛みの感覚が増幅されることがあります。
また、不安やストレスは口腔内の筋肉の緊張を引き起こし、それが痛みの原因になることもあります。治療中のストレスを理解し適切に管理することは、痛みを軽減し、治療を快適に進める上で重要です。
リラックスを促す行動と習慣
リラックスを促す以下のような行動や習慣を取り入れることで、矯正治療中のストレスを軽減できます。
- 深呼吸
- 瞑想
- 軽い運動
- 趣味の時間
- 十分な睡眠
リラックスするための行動を日常に組み込むことで、心身のリラクゼーションを促し、矯正治療の経験をより穏やかなものにすることができます。
ストレスを軽減する周囲の協力
矯正治療を受けている間、家族や友人、担当医のサポートは非常に重要です。周囲の人は患者の感情を理解し、励まし、必要なサポートを提供することができます。
また、医療従事者でなくても治療の進行についての理解を深めることで、患者さんが直面する可能性のある困難や不安について話し合うことができます。強力なサポートシステムは、治療中のストレスを大幅に軽減し、治療の成功に貢献します。
マウスピース矯正とワイヤー矯正で痛みは違う?
歯列矯正の代表的な手法であるワイヤー矯正とマウスピース矯正では、歯を動かす仕組みが異なります。そのため、マウスピースとワイヤー矯正では、痛みの感じ方に違いがあります。
マウスピースは装着時の圧力が比較的穏やかで、痛みは軽減される傾向にあります。マウスピース矯正の代表格であるインビザラインで痛みが出やすいタイミングを以下の記事で解説しています。
一方、ワイヤー矯正は強い圧力をかけるため、痛みが強く感じられることが多いです。
しかし、これらの痛みは個人差が大きく、患者の状態や痛みへの耐性によって異なります。歯科医師と相談し、自分のライフスタイルや治療目標に合った方法を選ぶことが重要です。
歯周病がある人は特に痛み要注意!
歯周病は、歯を支える歯肉や骨組織に炎症が起こる状態です。矯正治療中に歯周病があると、痛みや不快感が増す可能性があります。
矯正治療を始める前には、歯周病の有無をチェックし、必要に応じて治療を行うことが重要です。
また、矯正器具の圧力により既存の歯周病が悪化することもあり、治療効果に影響を与える場合があります。定期的な歯科検診を受けることで、歯周病のリスクを減らしましょう。
さらに、矯正治療中は特に口腔衛生に注意が必要です。矯正器具は食べ物のカスや歯垢の蓄積を促進することがあるため、以下のような正しいブラッシングとフロッシングが不可欠です。
- 柔らかいブラシを使う
- ワイヤー矯正の場合は矯正器具の周りも含めて丁寧に磨く
- デンタルフロスやウォーターピックで歯間の清掃を行う
まとめ
歯列矯正の痛みに関する不安は、多くの方が共有する問題ですが、適切な知識と理解により、この不安は大いに和らげられます。
本記事では、矯正治療の痛みに関する基本情報、痛みの期間と個人差、そしてその原因を詳しく解説しました。また、矯正方法の選択や痛みを和らげる具体的な方法、正しい口腔ケアの重要性にも触れています。
さらに詳しい情報やご自身の状況に合ったアドバイスが必要な場合は、ぜひ芦屋M&S歯科・矯正クリニックの矯正医にご相談ください。専門医の知識と経験により、矯正治療の痛みに対する不安を解消し、快適な治療を進めるためのサポートをご提供できます。
美しい笑顔への一歩をともに踏み出しましょう。
よくある質問
歯列矯正中の痛みはどのような種類がありますか?
矯正中に感じる痛みには、主に鈍痛、尖痛、持続痛の3種類があります。鈍痛は一般的に矯正器具の装着後に感じられ、尖痛は特定の部位に強い圧力が加わるときに生じます。持続痛は比較的長期間にわたって感じる痛みです。
矯正治療の痛みを軽減する方法はありますか?
痛みを軽減する方法として、アイスパックの使用、穏やかな運動、適切な歯磨き方法、柔らかい食品の選択、ストレス管理などが有効です。また、矯正ワックスの使用、適切な鎮痛剤の利用も痛みの軽減に役立ちます。
歯列矯正の痛みにはどのくらいの期間がありますか?
矯正治療における痛みの期間は個人差が大きいですが、一般的には矯正器具の装着や調整直後の数日から数週間で痛みは軽減されます。ただし、治療中は時々痛みが再発することがあります。
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